地上のアリは3%。
アリの巣が見つからないときの退治方法は?
- アリ
- 2021/04/22
家の中やお庭で蟻(アリ)を見つけたとき、目の前のアリを退治しても、次から次へと仲間がやってきてキリがない…という経験はありませんか。それもそのはず、地上のアリは3%で、残りの97%は巣の中にいるのですから。根絶するためには巣ごと退治しなければなりません。近くに餌(エサ)を置いて、それを運ぶアリたちの後を追っていくと、アリの巣の場所を特定できるケースもありますが、巣穴を持たない種類のアリもいるので巣を見つけられないこともあります。どのような退治・駆除方法が効果的なのでしょうか。
意外と知られていない事実。
アリはハチの仲間で、社会性昆虫。
分類学的に、アリはハチ目のアリ科に属しており、ハチの仲間。ちなみにシロアリはシロアリ科ではなくゴキブリ目に属しており、むしろゴキブリに近い仲間で、シロアリとアリは異なるグループです。アリの中には大顎が発達して、オオズアリやヤマアリのように咬むタイプも存在し、咬まれると痛みが残る種もいますので、素手で触れるのは避けたほうがよいでしょう。また、日本にいるアリは針で人を刺す種類はわずかですが、オオハリアリに刺されると、とても痛いです。海外には強い毒針を持つタイプのアリもいるため、旅行や出張などで海外に行く際には注意してください。
アリは社会性を持った昆虫で、巣を作って集団生活します。1つの巣に女王アリが1匹の種もいれば、複数の女王が1つのコロニーに共存する種も。女王アリを中心とした社会生活を営み、雄アリ、兵アリ、働きアリなどが存在し、それぞれが階級ごとに役割を果たし、生活を営んでいます。女王アリは卵を産み続けますが、成長したアリのほとんどは働きアリとなり、巣作り、餌集め、幼虫の世話などの役割を担って、効率よく個体数を増やしているのです。
アリは種類によって特徴・生態も様々。
日本で見られるアリは?
アリの種類は世界では12,908種類(2013年1月時点)。日本にも296種類(2014年3月時点)のアリが存在しています。ここでは日本で見られるアリについて、写真付きで解説していきます。
1アミメアリ
働きアリの体長約2.5mm
体色は褐色。網目状のシワのような模様が、頭部・胸部・腹柄節(ふくへいせつ/胸部と腹部の間の部分)にある。腹部は丸くぷっくりとしていてツヤがある。身体の割に長い触角を持つ。よく見る一般的なアリだが、アリとしては珍しく女王アリが存在せず、すべての働きアリが繁殖能力を持ち、単為生殖によって数を増やしていく。定住の巣は作らず、植木鉢や石の下に一時的な巣を作り、環境が悪くなると、卵や幼虫を口にくわえて移動してまた別の場所に巣を作る。
2イエヒメアリ
働きアリの体長約2~2.5mm
体色は黄色から赤褐色。腹部が徐々に黒っぽくなる。腹部が大きな個体が女王アリ(雌アリ)。複数の女王アリを持つ多雌性で、大きな集団になりやすく、分巣もしやすいため、駆除が困難。熱帯アフリカ原産の外来種だが、日本の都市部でも被害報告が多い。家の中に侵入して砂糖やお菓子などに集まる。屋内棲息性で、室内のちょっとした隙間や壁紙の裏、ふすまの紙の間や押し入れなど分かりにくい場所に巣を作る傾向にあり、巣の発見は容易ではない。
3オオズアリ
働きアリの体長約3mm/兵アリの体長約3.5~4.5mm
体色は頭部と腹部が黒褐色で、他は赤褐色。兵アリの頭が目立って大きく、大頭蟻(オオズアリ)の名がつく。兵アリは獲物を解体したり、餌場をまもったりする。木陰の湿った場所や木の根元あたりに巣を作り、甘いものに集まるため屋内にもしばしば侵入する。咬みつくことがあるため触らないように注意。羽アリの結婚飛行は東京では8~9月頃、四国では7~11月頃。
4クロヤマアリ
働きアリの体長約4.5~6mm
体色は灰色がかった黒色。北海道・本州・四国・九州・屋久島まで広く分布する一般的なアリ。気温が10℃以上あれば地上で普通に見られる。アブラムシ類やカイガラムシ類が出す甘露や花の蜜に集まる他、昆虫やミミズも餌にする。地中に巣を作り、その深さは1~2mになる。1つの巣の働きアリの数が1万を超えるケースも多い。
5トビイロシワアリ
働きアリの体長約2.5mm
体色は褐色から黒褐色。頭部に縦皺があり、胸部には不規則な皺がある。腹部には皺はなく、ツヤがある。全国的に見られるが、特に都市の道端やイネ科の草地など日当たりのいい平らな場所を好む。巣作りは石の下や植木鉢の下など。芝などの根元にも巣を作るため以前は“シバアリ”とも呼ばれていた。羽アリの飛行は6~7月頃。
6ルリアリ
働きアリの体長約2mm
体色は黒色。腹部は瑠璃色に近い。独特なにおいを分泌する。比較的小型のアリだが、肉食性の傾向があり、アシナガバチなどハチ類の巣を集団で襲うこともある。またプラスチック包装を喰い破って入り込んで、衛生上の問題になることも。枯れた枝や石の下などに巣作りするが、梅雨時期などは避難して家の中に侵入することがある。羽アリの飛行は7月頃。
7アルゼンチンアリ
働きアリの体長約2.5~3mm
体色は茶褐色。国際自然保護連合の「世界の侵略的外来種ワースト100」、日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されているアリ。南米原産の外来種だが、1993年に日本で初めて広島県で生息が確認。在来種のアリを駆逐する勢いで生息範囲を広げる。女王アリは産卵能力が高く、条件が揃うと1日に約60個の卵を産むことが可能。とても素早く動き回り、攻撃性も非常に高く、食欲も旺盛。ほぼ1年中活動し、春から秋にかけて活発に動く。
- 番外編…ヒアリ
働きアリの体長約2.5~6mm
体色は赤褐色で、腹部は濃く黒っぽい赤色。全体的にツヤがある。同じ働きアリでもサイズにはバラつきがある。アカカミアリと似ているが、ヒアリの場合はドーム状の蟻塚(アリ塚)を作る。ヒアリは南米原産の外来種で、既にアメリカや中国には定着。2017年夏、東京・神戸・名古屋・大阪などの港湾で発見されたが、日本での生息・定着は確認されていない(21年4月時点)。毒針を持っており、刺されると火傷のような激しい痛みが生じる。強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)があった場合は生命の危険が伴うため早めの処置が必要。
離れた巣からエサにたどりつけるのはなぜ?
アリの効果的な退治・駆除方法。
- アリの巣の場所が分かる場合
巣穴やその周辺にかけてアリの巣を効果的に駆除できるシャワータイプや、ノズルを巣穴に差し込んで直接スプレーできるエアゾールタイプの駆除剤がおすすめです。
- アリの巣の場所、アリの種類が分からない場合
アリには吸蜜性の種類もいれば雑食性の種類も。雑食性のアリがくわえやすい顆粒薬剤と吸蜜性のアリが吸いやすいジェル薬剤、 2種類入った毒餌剤を置けば、様々な種類のアリが餌を巣に持ち帰るため、巣ごと全滅させることが可能です。
- おうちの中にいるアリをいますぐ退治したい場合
アリは意外と家の中に出るもの。屋内にいるアリを1プッシュで速効退治でき、窓のサッシやドアのすき間などアリが侵入しそうな場所にスプレーしておくだけで、アリのまちぶせ効果が約3ヵ月間続く屋内用のスプレーが1本あると便利です。