アシナガバチの被害が増える時期は?
ハチの巣の見分け方と駆除のヒント。
- ハチ
- 2020/07/15
都市部の住宅街でも普通に見られるアシナガバチ。農作物や樹木・庭木などにつく芋虫(イモムシ)や毛虫(ケムシ)等を捕食するため益虫としての側面もありますが、人間を刺すことも…。刺されると痛いだけでなく、アナフィラキシーショックによって激しい全身症状が現れることがあるのでご注意を。アシナガバチの生態や被害に遭いやすい時期を把握し、刺されないよう心掛けましょう。また、スズメバチとの違いや巣の見分け方についても、画像付きで解説します。
蜂(ハチ)は多種多様。
アシナガバチとスズメバチはどう違う?
農業害虫を捕食するなど益虫としての役割を果たすアシナガバチがなぜ問題になるのかというと、人を刺すことがあるから。ハチにも様々なタイプがいて、植物の葉を食べるハバチやキバチ等“植物食”のハチや、昆虫の幼虫や蛹に卵を産みつけ寄生するヒメバチやコバチ等の“寄生蜂(寄生バチ)“のように、人を刺さないハチもいます。数多く存在するハチのうち、人を刺すのはごく一部。例えば、アシナガバチ・スズメバチ・ミツバチ等です。
「蜂の一刺し」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ミツバチが一度刺したら死んでしまうことから、“自分の命をかけて相手に致命傷となる一撃を与える事“を言います。ミツバチの針の先端部はノコギリのようにギザギザしていて、その構造上、刺した針を皮膚から抜くとお腹の部分ごと持っていかれて命を落としてしまうのです。アシナガバチやスズメバチは1匹が何度も刺すことができるため、より注意が必要でしょう。ちなみに毒針を持つのは女王バチと働きバチだけで、働きバチはすべて雌(メス)。針は産卵管が変化したものなので、雄(オス)は針を持っておらず、刺すこともできません。
脚が長い蜂と書いて、アシナガバチ(脚長蜂/足長蜂)。その名の通り、長い後ろ脚を持つハチで、スリムなボディが特徴です。長い脚をたらして優雅にゆっくりと飛びます。一方のスズメバチは動きがスピーディーで、攻撃性も強いので、巣に近付くだけでも大変危険です。アシナガバチはスズメバチほど攻撃性は強くないので、急に近付いたり触ったりしなければ、基本的には刺しません。けれど、アシナガバチは民家の軒下や庭木の枝などに巣を作るため、水やりや庭木の剪定、洗濯物をとり込む際などに、意図せずアシナガバチに近付いてしまうことも…。頻繁に見かけるようなら、近くに巣を作られている可能性があるので、その場合は巣の駆除を検討するといいかもしれません。
日本で見られる主なアシナガバチの種類。
ハチの巣の見分け方は?
アシナガバチ類は、ハチ目スズメバチ科アシナガバチ亜科に属するハチの総称です。種類にもよりますが、黄色と黒色の縞のような模様が特徴。日本で見られるアシナガバチの仲間は11種類で、自然豊かな場所を好むキアシナガバチ(体長21~26mm)やヤマトアシナガバチ(体長15~22mm)等は山間部を中心に生息。都心でもよく見られるのは、セグロアシナガバチ(体長21~26mm)やフタモンアシナガバチ(体長14~18mm)等。エリアによっては小型の種であるコアシナガバチ(体長11~17mm)も庭先やベランダに巣作りするケースが多く、被害にも遭いやすい傾向にあります。
スズメバチの巣は球体で1箇所だけ穴があり、その穴からハチが出入りしていますが、アシナガバチの巣はいずれも育房が露出していて、巣全体にたくさんの働きバチがたかっているように見えます。ハチの巣を見つけさえすれば、それがスズメバチなのか、それともアシナガバチなのか、容易に判断はつくでしょう。アシナガバチの巣は露出しているので、ハチ用エアゾール等の薬剤が掛りやすく、駆除しやすいです。毎年同じ場所に巣を作る傾向にあるため、ハチがいなくなって“廃墟化”したハチの巣も壊しておき、巣作り阻止効果のあるスプレーを使って予防・対策しておくことをおすすめします。
樹皮等に唾液を混ぜて巣を作っていくアシナガバチ。どの種も育房が露わになっていますが、コアシナガバチの巣は反り返ったようになっていて、特徴的です。ちなみにハチの巣は六角形の柱が隙間なく並べられていて、軽くて丈夫。この構造は「ハニカム構造」と呼ばれ、なんと、飛行機の翼や自動車や新幹線などにも活用されています。
4~5月頃、女王バチが巣作り開始。
巣が大きくなり、被害が急増するのは夏。
役目を終えた女王バチ・働きバチ(雌)・雄バチはみんなその年限りの寿命で、前年の夏頃に誕生した新女王蜂だけが越冬します。冬眠から目覚めた女王バチは春になると、たった1匹で巣を作るのに最適な場所を探し、巣作りをスタート。女王バチが1匹で単独行動している時期(4~5月頃)は冬眠あけでおとなしく、ほとんど反撃してきません。この頃が駆除のベストタイミングです。女王バチを退治しておけば巣も作られないので、巣作りの予防に繋がります。
巣作りの開始に至った女王バチは卵を産み、働きバチが羽化して少しずつ増えていくと、徐々に営巣活動と育児を働きバチに任せ、女王バチは産卵に専念します。1つの育房に卵は1つ。例えばセグロアシナガバチの場合は最終的に育房数が300~400房、キアシナガバチの場合は暖地では500房に達することも…。働きバチは巣を守る習性があり、巣が大きくなるにつれて、危険度も増加します。ちなみに、同じ育房を複数回利用するので、「育房数=ハチの数」ではありません。
アシナガバチの種類や発生エリアの気候にもよりますが、6~8月頃に最盛期を迎え、11月頃まで発生。春から秋にかけては、庭木・樹木の水やりや剪定、また洗濯物をとり込む際などに、攻撃されたと勘違いしたアシナガバチに刺されるケースもあるので注意しましょう。
アシナガバチの巣の予防と駆除のポイント。
巣の場所が分からないときの対処法は?
アシナガバチの巣を予防するには?
前の年に巣を作られてしまった場所や、玄関や軒下等の巣を作られやすい箇所に、巣作り阻止効果のあるエアゾールスプレーを噴射しておきましょう。エリアにもよりますが、巣作りが始まる少し前、3~4月頃がおすすめです。