木製の家具やフローリングに小さい穴があいたら、キクイムシの仕業かも?
- その他
- 2019/06/04
ナチュラルなお部屋のコーディネートに欠かせないのが天然木や無垢材の家具やフローリング。けれど、よく見ると、わずか数ミリの小さな穴があいていたり、そのまわりに木屑(木くず)が落ちていたりしたことはありませんか?それってもしかしたら、キクイムシという乾燥材につく虫の仕業かもしれません。どの種類の木材に発生しやすいのか、発生原因は何か、予防・退治・駆除するにはどうすればいいのか…写真(画像)付きで対策をご紹介します。新築物件でも被害が見られるので注意しましょう。
木材の穴に気付いたときには、もういない?
キクイムシの生態と発生時期。
家屋や家具に使用される木材に害を与える虫の中でも日本で被害が多いのはシロアリ類やキクイムシ類です。キクイムシの幼虫や成虫を見たことがある人は、意外と少ないかもしれません。というのも、幼虫は木材にあけられた穴の中に潜んでいるのでその姿を目撃することは難しく、成虫になって穴から脱出しても、通常10日前後で死んでしまうためです。できれば遭遇したくないかもしれませんが、被害の割には遭遇率の低い害虫だと言えるでしょう。日本で被害が報告されているキクイムシ類には、ヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイムシ、ケヤキキクイムシ、アフリカヒラタキクイムシ等がいます。
キクイムシは細長い甲虫で、体色は赤褐色を中心に、黄褐色や黒褐色まで多様です。ヒラタキクイムシの成虫の体長は2.2mm~7.0mmと、他の虫に比べて個体差が大きいのが特徴で、平均的なサイズは3~4mm。幼虫期の栄養条件(つまり木材の種類等)が影響すると言われています。ちなみに、 日本では通常、1年に1世代(卵→幼虫→蛹→成虫)ですが、温度と栄養条件によって、寿命も変動します。3ヵ月で成虫になることもあれば、2年以上を要することも。成虫の発生時期は春から夏にかけてが一般的で、ピークは6月です。栄養が足りない場合は秋に出現したり、暖房等によって部屋が年中あたたかい場合は冬に出現したりすることもあるので、一年を通じて注意深く観察するようにしてください。
キクイムシの種類と発生エリア。
被害に遭いやすいのは、どんな環境?
見た目も生態もとてもよく似ているヒラタキクイムシとナラヒラタキクイムシ。いずれも栄養条件で個体差が生じるため、大きさでの判断は難しいですが、5.5mmを超える場合はヒラタキクイムシの可能性が高いです。比較すると、ヒラタキクイムシは頭部の光沢に差があり、ナラヒラタキクイムシは光沢がありません。
ヒラタキクイムシはもともと本州中部より西に被害が多かった害虫ですが、現在では北海道まで分布エリアを拡大。一方のナラヒラタキクイムシは北海道を含む関東以北に生息しています。つまり、西日本や九州や沖縄で発見された場合は、広く分布するヒラタキクイムシの可能性が考えられますが、他にも様々な種類がいるので、やはり特定は難しいでしょう。
ちなみに、ナラヒラタキクイムシは奈良でよく発見されるという訳ではなく、ナラ材を好むためこの名が付きましたが、ナラ材に限らず広葉樹を幅広く食害します。ケヤキヒラタキクイムシという種類もいますが、同様にケヤキ以外にも被害が見られるため、被害材からキクイムシの種類を特定するのも難易度が高いです。いずれにせよ、どの種類のキクイムシにも共通する効果的な方法で対策しておく必要があります。
近年はDIYでお手製の棚や机を作ったり、住宅をリフォームやリノベーションしたりするのが流行していますが、そういった際にはぜひ建材の種類にこだわってみてください。なぜかというと…?
木材を食害するキクイムシは、木造住宅における重要害虫。
キクイムシが好きな木材の種類は?
このとき雌成虫は木材の道管(導管)に産卵管を差し込んで卵を産みますが、卵の直径が約0.16mmなので、それよりも太い道管(導管)でないと卵を産みつけることができません。
つまり、主に食害されるのは、でんぷん含有量が多く、乾燥していて、卵の直径より太い道管(導管)を持つ木材。キクイムシの被害によく遭う代表的な材質は、ラワン材やナラ材が中心です。その他、カシ、タケ、ケヤキ、キリ等も被害が見られるので注意してください。基本的には森林の樹木等を食害することが多いキクイムシですが、住宅の柱やフローリングや天井、タンスや本棚などの家具にも害を与えるため、こまめな確認を習慣にしましょう。
おすすめのキクイムシ対策。
被害に遭ってからでもすべき対処法は?
- キクイムシを防除する対策とは?
- ラワン材やナラ材など広葉樹を避け、スギやヒノキなど針葉樹を使用する。
- 飛来・産卵防止のため木材の表面に塗料を用いる。
- 薬剤を予防処理しておく。
- 掃除の際に定期的に点検して早期発見に努める。
- 加害を発見したら…?
- ガリガリと木を加害する音がしないか確認する。
- 木材の脱出孔に、キクイムシに適用のあるピレスロイド系の虫ケア用品(殺虫剤)のノズルを差し込み、スプレーする。
※既に幼虫・成虫がいなくても、再発防止のために予防散布しておくことをおすすめします。 - 大量発生してしまい被害が大きいときは専門の駆除業者さんに依頼する。
※費用は被害の範囲と規模によります。