舌の上にできる白い層「舌苔（ぜったい）」とは？

舌の表面には小さな凹凸（糸状乳頭）があり、食べ物をこそぎ落としたり、咀嚼する際に歯と歯の間へ運ぶのに役立つ仕組みとなっています。
しかし、細かな凹凸状になっているということは、様々なものが引っかかりやすいということ。
食べカスや口内の粘膜が剥がれ落ちた垢のようなもの、唾液の成分、細菌などが混じり合って沈着し、舌の上に白い苔状の「舌苔（ぜったい）」と呼ばれる層を作ります。
さらに舌苔の中で菌が活動・増殖することで、口臭の原因になってしまうこともあります。
口臭のおよそ6割は舌苔から発生するという報告もあるため、口臭に悩んでいる方は舌苔のケアが大切だと言えるでしょう。

舌苔が関係する様々な問題

舌苔が様々な問題を引き起こしてしまう場合があります。
まず、舌苔は上述したように口臭の原因となります。
舌苔内に住む嫌気性菌が唾液や剥がれた口内の粘膜、食べカスなどを分解・腐敗することで、揮発性硫黄化合物（メチルメルカプタン等）が大量に産出されて不快な臭いを放ちます。

舌苔が溜まることで味を感じにくくなる場合もあります。
舌には味を感じる器官「味蕾（みらい）」があり、この味蕾に乗ったものの味を私たちは感じています。味蕾が舌苔によって覆われてしまうことで、味を感じにくくなってしまうのです。

また、高齢者に多い誤嚥性肺炎（ごえんせいはいえん）になるリスクも高まるため、注意が必要です。
通常、食べ物などが気管に間違って入った場合、咳反射で（むせて）異物を気管から排出しようとします。
しかし、加齢などで嚥下（えんげ）機能や咳反射機能が低下すると、そのまま気道や肺に異物が入りやすくなってしまい、異物を除去することができません。この状態を誤嚥と言います。
細菌が溜まった舌苔が剥がれて食べ物と一緒に侵入してしまうと、肺の中で細菌が増殖して誤嚥性肺炎を招いてしまうことがあります。
主に高齢者の方や、食べ物を飲み下す機能が低下している方は注意が必要です。

舌苔はうがいでは取り除けない！正しい舌苔のケア方法

舌苔はうがいなどでは取り除くことが難しく、物理的なブラッシングが不可欠です。
ここからは、舌苔を落とすための舌の正しい清掃方法についてご紹介します。

舌は想像以上にデリケートな器官のため、舌の清掃には専用のブラシやクリーナーがおすすめです。
毛先が硬い歯ブラシでは舌を傷つけてしまう恐れがあるので避けましょう。

掃除の方法は以下の3ステップです。

Step1
鏡を見ながら、舌を思い切り前方へ出す。そこで舌苔が舌の後方に付着しているかどうかを確認するようにしましょう。

Step2
ブラシを一番奥に当て、力を入れずにそのまま手前方向に引いていく。

Step3
使用した舌ブラシの先を水道水でよく洗い流す。舌ブラシの先に汚れ（舌苔）が付着しなくなるまで、1～2を繰り返す。

上記の方法で、舌苔を除去するのがおすすめです。
舌掃除は「1日に1回程度」で十分舌苔を除去できます。
それ以上の回数を行ってしまうと舌を傷つける恐れもあるため、1日に何度も掃除をするのはやめましょう。

舌苔の原因となる汚れの蓄積予防には歯みがき・洗口液がおすすめ

舌苔は食べカスや口内の細胞が剥がれ落ちたものから作られるため、どんなに気をつけていても付着する可能性はなくなりません。
日頃から口内を清潔に保ち、舌への蓄積を防ぐことが重要となります。

食事後や睡眠前など、毎日の歯みがきに洗口液をプラスして、食べカスなどお口全体の汚れを洗い流しましょう。
特に仕事やお出かけなどの外出先で歯みがきができない場合は、洗口液で口の中をすっきりとさせる習慣をつけるのもよいでしょう。

まとめ

舌に溜まって白っぽく見える舌苔は、口内環境に悪い影響を与えてしまうことがあります。鏡で自分の舌を定期的にチェックし、舌苔が溜まっていないか確認することが大切です。
舌苔の原因となる汚れを洗口液で洗い流したり、舌のブラッシングを定期的に行うことで、舌苔を溜めないように予防しましょう。