ダニの生態・種類
ダニは、昆虫ではなくクモやサソリの仲間。頭・胸・腹が一体で胴体部となり、胴体部の前方に口器である顎体部が付属しています。屋内に生息する種類は屋内塵性ダニ類と総称され、このうちアレルギーの原因となるのはヒョウヒダニです。
「屋内塵性ダニ類」とよばれるのは、ヒョウヒダニ(チリダニ)類・コナダニ類・ツメダニ類。その中で、ヒョウヒダニ類のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニで、7~9割を占めます。
ヒョウヒダニ(チリダニ)
ほぼ1年中見られるダニ。 じゅうたんや家具等に多く発生。大発生した際、このダニの体や死骸、糞(フン)がアレルギー性疾患の原因(アレルゲン)となる。人を刺すことはない。温度20~30℃、湿度60~80%の高温多湿を好む。
餌 | ほこり、人のフケ、アカ、その他有機物等。フケ・アカ・汗1gで、約300匹のダニが生息できる。 |
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生息場所 | カーペット、ベッド、枕、布団、ソファーなど |
代表的なダニ |
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コナダニ
梅雨時、秋口に増殖するダニ。高温多湿を好み、繁殖力が極めて旺盛。人を刺すことはないが、大発生するとコナダニを捕食するツメダニが増殖し、そのツメダニによる刺咬被害が出る。低温に強いコナダニの繁殖を抑えるには湿度を下げることが有効。
餌 | 広範囲の食品(砂糖・乾燥果実・味噌・削り節・煮干・小麦粉・チーズ・チョコレートなど)、医薬品、ワラ等 |
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生息場所 | 食品、タタミなど |
代表的なダニ |
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ツメダニ
梅雨時、秋口に増殖するダニ。8~9月は特に被害が増加。他のダニやチャタテムシ等を捕食。これら餌になる虫が増えると、ツメダニも多く発生する。吸血しないが、稀に間違って人を刺し体液を吸うため、刺咬症の原因になることも。
餌 | 他のダニ(ヒョウヒダニ、コナダニ)、小昆虫等 |
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生息場所 | カーペット、タタミなど |
代表的なダニ |
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イエダニ
ネズミや鳥に寄生する吸血性のダニ。宿主のネズミが死んだ場合や、ネズミの巣内で大発生した場合等に、移動して人も吸血。割れ目や暗い場所に潜む。通常は夜間に吸血。5月頃から発生し、6~9月が発生の最盛期。人への被害もこの時期に集中する。
餌 | ネズミ、哺乳類の血液 |
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生息場所 | ネズミの体・巣 |
代表的なダニ |
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コナダニは大量発生すると、白く粉がふいたようになるよ。
食品や畳、新築の家にも発生することがあるんだ。
マダニは屋外にいる大型のダニで、感染症を媒介することがあります。
マダニは肉眼でも確認できる大型のダニ。成虫の大きさは3~10mmぐらいまで種類により様々で、これが大きな特徴です。
マダニは3~4月頃から増加しはじめ、10~11月頃が本格的な活動期となります。中には、冬季に活動する種類も。最近では、 山・公園・河川敷・草地・庭など身近な場所での存在も問題視されています。
マダニの付着予防法
散歩中や公園で遊ぶ際は、長袖を着用して皮膚の露出を抑えたり、明るい服を着てマダニの付着を分かりやすくしたり、工夫することが有効です。また、マダニが嫌がるディートを有効成分とした虫よけ剤を上手に活用しましょう。外出先から戻ったら、玄関に入る前にまずマダニが付着していないかを確認。洋服をたたいて払ったり、ガムテープ等でとったりすることも、良い方法です。
マダニに刺された場合
マダニに刺された、もしくは刺されたかもしれない場合は、皮膚科等医療機関で処置を受けてください。その際、刺された場所や日時、状況を医師に正確に伝えることも重要です。
マダニに刺咬されると、皮膚が発赤し腫れて炎症を起こすことがありますが、かゆみを伴わないことが多く、吸血されていることに気付かないケースも多くあります。
吸血しているマダニを発見した場合、無理にとるとダニの口が残ることがあるため、無理にとらないでください。つまんではがそうとした際、マダニの体内の病原体を逆流させてしまう恐れもあります。吸血中のマダニを殺すとマダニの口が皮膚の中に残る可能性があるので、殺さずに医療機関で適切な処置を受けてください。
マダニが媒介する感染症
マダニに刺されると、日本紅斑熱やライム病などの感染症や、問題となっている「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症する場合があります。日本全国でこの「SFTSウィルス」を保有したマダニが確認されており、国内で広く分布していると考えられています。「SFTSウイルス」を持ったマダニに刺された場合、潜伏期間は6日~2週間程度。発症した場合の主な症状は、38度以上の発熱、嘔吐、下痢、食欲低下です。致死率は6~30%と報告されていますが、治療法として有効な薬剤やワクチンは現状ありません。
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知っていることで、予防や適切な対応ができます。
楽しい余暇を楽しむためにも、マダニの危険性を覚えておいてください。
ダニの害
アレルギーの原因となるダニ。
アレルギー疾患の原因の80%以上がダニによるものです。
ツメダニは人を刺します。
ツメダニは、ヒョウヒダニやコナダニなどを捕まえて体液を吸って生きているダニです。普通、室内では比較的数が少ない種類ですが、築後2~3年を経過した家屋や新しい畳などで、ヒョウヒダニ、コナダニ、チャタテムシなどが大発生した際、それを捕食するこのツメダニも大発生する場合があります。
吸血はしませんが、夜間就寝中に這い出てきて人を刺し、傷口から唾液を入れ、さらに人の体液を吸います。
刺されると、その瞬間は痒みも腫れもないですが、1~2日経つと赤く腫れてかゆみが起こり1週間ほど続くことがあります。(遅延性のアレルギー皮膚炎)
刺されやすい場所は、大腿部、上腕部の内側、腹腰部などに集中し、ふとんや畳に接した側が被害を受けやすいです。
イエダニはネズミに寄生し、感染症を媒介します。
イエダニは、ネズミに寄生し、吸血しているダニです。寄生しているネズミが死ぬと、新たな寄生先を求めて人を吸血することがあり、これが原因で皮膚炎を発症します。腹部や太ももから吸血される事が多く、6~9月に多く見られます。
ネズミがいるということは、イエダニがいる可能性があるということです。まずは、ネズミを駆除しましょう。その後、感染症を媒介する恐れのあるイエダニの、お部屋全体の駆除と部分駆除を実施し、最後は必ず掃除機をかけて死骸や糞(フン)などを取り除いてください。