特技はかくれんぼ?トコジラミの見つけ方と
刺されないための4つの対策。

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2019/08/01
特技はかくれんぼ?トコジラミの見つけ方と刺されないための4つの対策。

旅行や出張、留学先の部屋で寝て起きたら、手足や首まわりに赤いブツブツができていて、かゆい…。そんな経験はありませんか?日中はベッドと壁の隙間などに潜み、夜になると出てきて吸血活動を行う、トコジラミの仕業かもしれません。インバウンド増加に伴うトコジラミの侵入に注意しておきましょう。

トコジラミとはどんな虫で、どのような被害があるのでしょうか。生態について、画像付き(写真付き)で解説!トコジラミの発生原因や予防策、自分でも簡単にできる駆除方法をご紹介します。

トコジラミという名前はなぜついた?
一度は数を減らし、パワーアップして帰ってきたトコジラミ。

「南京虫(ナンキンムシ)」という別名もあるトコジラミですが、中国産の虫ではありません。中国や南京に関係ないためナンキンムシという名称は適切ではないという話になり、トコジラミという名前がついたと言われています。しかしながら、トコジラミは、床に発生するシラミ…でもありません。名前に「床(トコ)」とつく通り、ベッドや布団で寝ているときに刺されることが多いですが、名前に「シラミ」とつくものの実は「カメムシ」の仲間。カメムシほどの強烈なニオイを放つ訳ではありませんが、カメムシ目トコジラミ科のトコジラミも、潰すと独特のニオイがするちょっと不思議な虫です。ちなみに、カメムシは明るい場所が好きですが、トコジラミは明るい場所が苦手で、昼間はベッド・壁・床などの隙間に隠れています。

トコジラミはカメムシ目に属する吸血昆虫
トコジラミはカメムシ目に属する吸血昆虫

日本にトコジラミがやってきたのは江戸時代。その後、第二次世界大戦後に強力な殺虫剤によって一度は日本からほとんど撲滅されましたが、近年は都市部のホテルや旅館などに発生して問題となっているのをご存知でしょうか。海外からの旅行者のスーツケースや手荷物等に、薬剤に対する抵抗性を持つトコジラミ(スーパー・トコジラミ)が紛れて侵入し、そのまま日本に居ついて繁殖してしまったようです。日本では北海道から九州まで幅広いエリアで発見され、海外でもアジア各国だけでなくアメリカやヨーロッパでも幅をきかせているグローバルな害虫、トコジラミ。英語ではBed Bug(ベッドバグ)と呼ばれています。海外のお店の虫ケア用品コーナーへ行ったとき、トコジラミの駆除剤の種類の多さに驚くこともあるかもしれません。

キャスターの隙間にトコジラミがいないか注意
キャスターの隙間にトコジラミがいないか注意

飢餓にも寒さにも強いトコジラミ。
1匹あたりの産卵数も多く、繁殖力も驚異的!

8mmくらいの大きさになる個体もいますが、一般的なトコジラミの体長は約4.5~5mm。よく間違えられるダニとは違い、肉眼でも充分に確認ができる大きさです。頭は小さく、触角の後方に複眼があり、5齢を経て成虫になります。幼虫も成虫も同じような体形をしていて、体色は茶褐色です。

細長い口器(こうき)を持つトコジラミの主な栄養源は人間の血液。その他、ウサギ、モルモット、ネズミ、小鳥などからも吸血します。通常は厚みのない平たいカラダをしていますが、満腹状態になるとぷっくりとやや膨らむのが特徴です。トコジラミの幼虫は体重の3~5倍ほどの血液を摂取。成虫も吸血後は体長が2mmほど伸びます。3倍以上にふくらむマダニほどのインパクトはないかもしれませんが、トコジラミの吸血量もなかなかのものです。

トコジラミの口器 写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部
トコジラミの口器
写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部
トコジラミの成虫 (体長約4.5~5mm)
トコジラミの成虫
(体長約4.5~5mm)
吸血中のトコジラミ(満腹になるとすぐ逃げる)
吸血中のトコジラミ
(満腹になるとすぐ逃げる)

トコジラミの成虫は1日3~6個産卵し、生涯産卵数は200~500個に及びます。産卵数が多い上、繁殖力もすごいので、うっかり家に持ち帰ってしまうことを避けたい害虫の1つでしょう。なんと、無吸血でも2~3ヵ月は生存が可能!また、25℃くらいの暖かい場所を好みますが、0℃で6ヵ月、10℃で2年近く生存したという報告もあるほど寒さにも強いです。トコジラミの主な発生時期は6~9月ですが、暖房が発達している日本の室内では1年中生息でき、冬でも普通に発生が見られます。

トコジラミの卵(約1mm) 写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部
トコジラミの卵(約1mm)
写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部

宿泊施設や飲食店から気付かずに持ち帰ってしまうこともあり、それがきっかけとなって一般家庭で繁殖してしまうことも…。まずは侵入させないことが大切ですが、トコジラミが発生してしまった場合には、どんな被害があり、どのような対策をすればいいのでしょうか?

トコジラミに刺されたのに、かゆくない人もいる?
ダニの被害と見分ける方法は?

トコジラミに刺されるのは主に夜間。狙われやすいのは腕や足、首まわりなど、就寝中に着ている衣類から露出している部分です。刺し口が2つあるとよく言われるのですが、1つのことも2つのこともあります。トコジラミに刺されると赤っぽい発疹ができますが、初めて刺されたときはアレルギー反応がないのでかゆみを感じません。症状には個人差があり、眠れないほどの激しいかゆみで血がにじむほどかいてしまう人もいれば、刺され続けるとかゆくなくなるという人もいるようです。ときには発熱を伴うなどの症状が出ることもあります。症状がひどい場合には治療を受けるようにすると、虫刺され痕が残りにくいでしょう。

トコジラミに刺されたときの症状写真
トコジラミに刺されたときの症状写真

就寝中に刺されて肌にかゆみがあると、ダニによるものか、それともトコジラミによるものか、気になる方もいるでしょう。ダニは肉眼では確認できないサイズなので、肉眼で認識できるサイズの虫を発見した場合は、ダニ以外の虫と言えそうです。動きが素早くかくれんぼが上手なトコジラミですが、吸血した大部分をフンとして出すので、血が混ざった赤いフンの汚れ跡が潜伏場所付近につきます。もし写真のような汚れを見つけたら、トコジラミの仕業かもしれません。天井や壁やカーテンに2mm程度のシミのような汚れがないかチェックしてみてください。

トコジラミの被害写真(血が混ざった赤っぽいフンがついて汚れる)
トコジラミの被害写真
(血が混ざった赤っぽいフンがついて汚れる)

トコジラミに刺されたくない方に試してほしい4つの対策。

1旅行先や出張先でホテルについたら隙間をチェック

グレードの高いホテルでも油断は禁物。ベッド・床・壁などの隙間にトコジラミが潜んでいたり、その抜け殻が落ちていたりしないか、確認してみましょう。同時に、黒っぽいシミがついていないかも点検してみてください。痕跡がある場合は部屋を変更してもらえないか依頼してみてもいいかもしれません。

2トコジラミを見つけた場合は専用の駆除剤で退治

エリアにもよりますが、トコジラミ専用の駆除剤は海外でも手に入れることができます。旅先で想定外の時間をとられないためにも、ホテル生活が長期にわたる場合は駆除剤を1本準備しておくと便利です。また、留学先やホームステイ先でも被害報告があるため、同様に用意しておくことをおすすめします。

3電気をつけたまま寝る

すぐに薬剤を購入できない場合、就寝時に電気をつけっぱなしにして、アイマスクをして寝ると刺されにくいのでおすすめです。明るい場所が苦手なトコジラミは、電気をつけたままにしておけば基本的には出てきません。トコジラミが空腹だと明るい場所でも刺すため確実な手法とは言えませんが、刺されるリスクは減らすことができます。

4宿泊先や外出先から持ち帰らないように注意

驚異の繁殖力を誇るトコジラミを持ち帰ると駆除が大変なので、まずは持ち帰らないことが重要です。明るい部屋で荷造りし、帰宅後もスーツケースや手荷物にトコジラミが潜んでいないか確認しながらチェックするといいでしょう。引っ越しの際についてしまうこともあるので、ダンボール等についていないかも確認してみてください。

シーツや布団も明るい色がおすすめ
シーツや布団も明るい色がおすすめ

近年は、薬剤に強い抵抗性のトコジラミの出現が問題となっています。旧来のトコジラミと比較すると、なんと1,000倍以上の抵抗性を持つタイプも!トコジラミは飛ぶことはできず、おなかをこすりつけて素早く歩きまわる習性があるので、有効成分を含んだマイクロパウダー入りの駆除剤を床にまいておくのがおすすめです。マイクロパウダーがトコジラミに付着して、予防効果・駆除効果が持続!トコジラミの被害を見つけたら、壁や柱の割れ目、ベッドの隙間などにスプレーしておきましょう。

トコジラミの成虫の腹部 写真提供 :(一財)日本環境衛生センター環境生物部
トコジラミの成虫の腹部
写真提供 :(一財)日本環境衛生センター環境生物部
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