アース・モンダミンセミナー2022
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「健康は健口から!プロから伝えるオーラルケア」と題し、2022年6月5日東京にて、アース・モンダミンセミナー2022を開催いたしました。
いつまでも自分の歯で食べ、きちんと発音し、笑顔でいるために。そして全身の病気を防ぐために。「お口の健康」への意識が高まる「歯と口の健康週間」に、歯の専門家とゲストによる講演が行われました。歯周病の本当の怖さや今の予防治療がどうなっているのか、他の病気との関連など、最新情報が会場を盛り上げました。
講演①「静かに進む怖い病気、歯周病を知ろう!」
歯を失うだけではない、歯周病の怖さ
歯周病は細菌感染によって起こり、歯ぐきの炎症である「歯肉炎」と、骨などの歯周組織まで破壊される「歯周炎」の2つがあります。歯周炎が進行すると、口臭や歯の喪失が生じ、歯周炎で歯が抜けた後は治療も非常に難しくなります。さらに糖尿病や心臓病、脳こうそく、アルツハイマー型認知症などにも関連しています。
進行は非常に遅く、痛みが出にくいので、自分が歯周炎になっていることに気づかず、放置しがちです。
明海大学 副学長・歯学部長・付属病院長
申 基喆先生
歯みがきに加えて、化学的にプラークコントロール
歯周病を防ぐには、口の中の細菌のかたまり=プラークを減らしていくこと。しかし歯ブラシが届かないところもあり、高齢になると手を細かく動かすのが困難な場合もあります。そこで歯みがきに加え、洗口液を使います。市販品以外に、殺菌成分(CPC)、抗炎症成分(GK2)、出血予防成分(TXA)が含まれた洗口液を歯科で購入することもできるので、より良いオーラルケアに役立てていただきたいと思います。
講演②「人生を最後まで健康に過ごすために
~歯を失わないために自分でできること、歯科医院でできること~」
進化する歯科技術で予防と再発防止を
荒井 人は痛くならないとなかなか歯科に行かないもの。そして予防は自分の意思と費用で行わなければなりません。しかし、メンテナンスをしているといないとでは、高齢になった時の歯の数が5倍違うというデータもあります。予防には、家でできる毎日の習慣「1次予防」と、未病のうちに 歯科に行く「2次予防」、そして再 発防止の「3次予防」があります。今はプラークを画像でチェックするなどのデジタル技術や、歯ブラシや洗口液など、歯科で提供できる予防方法が多彩に進化しています 1次・2次予防に歯科を利用して、効果的な予防をしましょう。
医療法人社団翔舞会 理事長/エムズ歯科クリニック 院長
荒井 昌海先生
歯みがき、洗口液は成分で選んで
井田 プラークを顕微鏡で見ると、無数の細菌がウヨウヨと動いているのが見えます。そこに洗口液を投入すると、瞬時に動きが止まります。こうした殺菌成分がある洗口液や、歯の再石灰化をうながし酸に強くするフッ素が配合された歯みがきなどは、薬局でも手に入ります。歯科医院だけで販売しているものもあるので、自宅での1次予防に役立ててください。
エムズ歯科クリニック 歯科衛生士
井田 沙紀子さん
歯並びを整えるのも強力な予防治療
山本 保険診療ができないもののなかに「矯正治療」があります。これは見た目の改善だけでなく、歯のでこぼこが改善されることで磨き残しを防ぐ、という強力な2次予防になります。ワイヤー以外に、マウスピースで短期間に矯正する方法も進歩しています。予防という観点で矯正を検討してはいかがでしょうか。
エムズ歯科クリニック 歯科衛生士
山本 詩織さん
第2部 ゲストトーク
「毎日を楽しく生きるために、歯を大切にする意識を持つ」
タレント デヴィ・スカルノさん
私は80歳のとき、ある番組の企画で歯科医の診察を受け「奇跡だ!」と驚かれました。「歯が28本そろっている!」と。日本ではそれほど珍しいことだったのですね。ずっと海外で暮らしてきたので、歯をケアするのは当たり前のことでした。アメリカでは就業中に堂々と3時間も歯科に外出するビジネスマンもいます。また、中国、韓国、インドネシアの皆さんも、きれいに歯並びを整えています。
歯に対する意識が高いのでしょう。かみ合わせが悪いと姿勢にも影響しますし、万病のもとになるのではないでしょうか。私は今も競技ダンスで脚を上げ、平均台の上をピンヒールで歩けます。病気をしたこともないのは毎日を一生懸命生きているからだと思います。歯はそうした人間性も表すもの。もっと日本の皆さんに口の健康を大事にしていただきたいですね。
タレント デヴィ・スカルノ さん
トークセッション
オーラルケアについてよくある質問と回答
研究と臨床の最前線にいる先生方が、歯科治療について、予防やケアについて、観客の皆さんから寄せられた質問に答えました。
モデレーター 東京医科歯科大学名誉教授 春日井 昇平先生
1.歯周病が認知症に関係するというのは本当でしょうか?
申 歯周病が関連する全身疾患は、糖尿病をはじめ、様々あります。アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータが蓄積することで起きますが、実験では歯周病のあるラットはそうでない場合に比べてアミロイドベータが10倍蓄積しやすいという結果が出ました。※ また、かむことは血流を脳に送り、刺激を与えます。歯周病でかめなくなると、この血流も減ると考えられます。
- ※2020年, 九州大学大学院 武洲准教授らの研究グループ
2.矯正治療に年齢制限はないのでしょうか。
荒井 いくつでも健康であればできますが、全身疾患との兼ね合いや、歯周病が進んでいると難しい場合があります。
山本 年齢に関係なくワイヤーやマウスピースをしている時は、歯ブラシによるプラークコントロールに限界があるので、洗口液で補います。
3.良い歯科医院の選び方を教えてください。
申 良い歯科医を選ぶときには、「認定医」「専門医」などの資格をもっていることが一つの基準になります。
荒井 専門性が高くなり部分的に特化した治療が増えています。歯科医師にも得意分野があるので、必要な治療の専門家を学会のホームページで探してください。治療のたびに医院を変えるのが面倒であれば、総合的に専門医が集まっている病院を探すのがおすすめです。
井田 歯科衛生士が多いこともチェックしてください。
Special Interview
歯のケアは努力ではなく習慣です
私は1日のうち起床時、朝・昼・晩の食後、寝る前と5回は歯を磨き、年2回はクリニックで歯石をとってもらいます。外出時には歯ブラシを必ずハンドバッグに入れています。それは特別なことでしょうか? 私にとっては習慣として身についたものです。ものをいただいたままの口でいるのが、気持ち悪いのです。洗口液もよく使いますがうがいをすると口だけでなく頭もすっきりします。
今82歳で歯は28本。いつも胸を張って酸素をたくさん取り込むようにして、365日働き、365日遊ぶ。そして年をとらない、と決めているのです。
講師紹介
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モデレーター
春日井 昇平 先生
東京医科歯科大学
名誉教授1979年東京医科歯科大学歯学部卒業、1983年同大学院歯学研究科修了。2001年同大学歯学部付属病院インプラント外来科長を併任。2004年同大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学分野教授。2020年より現職。他、友伸會東京プラス歯科矯正歯科東池袋、総合南東北病院でも診療を行っている。
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静かに進む怖い病気、歯周病を知ろう!
申 基喆 先生
明海大学
副学長・歯学部長
付属病院長1983年城西歯科大学(現・明海大学歯学部)卒業。同大助手、明海大学歯学部講師、助教授を経て、2003年同大教授、現在に至る。歯周病のスペシャリストとして、失われた口腔機能を回復させることの重要性を認識した治療方針で取り組むほか、インプラント外科手術に関連した最新の治療技術や材料開発にも取り組んでいる。講演会の実績や著作も多数。
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人生を最後まで健康に過ごすために
~歯を失わないために自分でできること、歯科医院でできること~荒井 昌海 先生
医療法人社団翔舞会 理事長
エムズ歯科クリニック 院長1999年東京医科歯科大学卒業。神奈川県内の勤務医を経てエムズ歯科クリニックを開業する。その後さらに医療法人社団翔舞会を立ち上げ理事長に就任。また、「医院を創り、医療を創り、国民の健康を創る」をコンセプトに掲げた歯科医師スタディグループMID-Gを創立し、最高の診療を追及している。
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人生を最後まで健康に過ごすために
~歯を失わないために自分でできること、歯科医院でできること~井田 沙紀子 さん
エムズ歯科クリニック 歯科衛生士
2018年群馬県高等歯科衛生士学院卒業。その後エムズ歯科クリニックに入社し、2021年よりマネージャー就任、現在に至る。
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人生を最後まで健康に過ごすために
~歯を失わないために自分でできること、歯科医院でできること~山本 詩織 さん
エムズ歯科クリニック 歯科衛生士
2018年鶴見大学短期大学部歯科衛生科卒業。その後エムズ歯科クリニックに入社し、2021年よりマネージャー就任、現在に至る。
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著名人に学ぶオーラルケア
デヴィ・スカルノ さん
タレント
東京都出身の国際文化人でインドネシア元大統領夫人。1990年にニューヨークに移住、国連環境計画特別顧問を務めるほか、NPO法人「アースエイド・ソサエティ」を発足、イブラ財団(音楽)の名誉会長を30年務めるなど国際的基盤を生かして活躍。その華麗で優雅な経歴と、どこか浮世離れした不思議な存在感で広く愛される。主なTV出演に「世界の果てまでイッテQ!」(NTV)、「クイズ!THE違和感」(TBS)など。著書も多数。
セミナー詳細
日時 | 2022年6月5日(日)東京 13:00~15:00 |
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会場 | 丸ビルホール(東京) |
主催 | アース製薬株式会社 |
共催 | 朝日新聞社 |
後援 | 東京都、公益社団法人東京都歯科医師会、公益社団法人日本歯科衛生士会、公益社団法人東京都歯科衛生士会 |