シロアリの生態
白いアリという名前が付いているシロアリですが、実はアリとは食性も生態も全く異なり、どちらかというとゴキブリの仲間です。
アリは女王を中心とした社会性昆虫であるのに対し、シロアリは女王と王のペアを中心とした社会性昆虫。卵から幼虫を経てほとんどのアリは働きアリとなりますが、一部は頭部が発達した兵アリとなります。
コロニーがある程度大きくなるとニンフという階級のアリが誕生。やがて羽アリとなって一斉に飛び立ちます。飛び立った羽アリは着地すると羽を落とし、雄と雌が新たにカップルとなり新しいコロニーを作ります。
シロアリの種類
日本には22種類のシロアリが生息していますが、大半のシロアリは土壌改良に重要な役割を果たしている益虫です。
家屋に被害を及ぼすシロアリは5種類ですが、主要なのはヤマトシロアリとイエシロアリ。特にヤマトシロアリが多く、8~9割を占めます。
ヤマトシロアリは、山や林の朽ち木や、庭や家の土台のあたりの湿って腐りかけた木材などでよく見かけます。「餌場=巣」なので、餌場の環境が悪くなると、新しい餌場を求めてコロニーごと移動します。
イエシロアリは、屋根裏や床下、土中などで大きな巣を作ります。そこを拠点に長い地下道を作って地下から侵入するため、家に付いたシロアリだけではなく、巣を探して巣ごと駆除することが必要です。
両者の見分け方は、働きアリでは難しく、羽アリか兵アリで識別します。
- 羽アリでの識別
- ヤマトシロアリは黒色。4~5月の昼間に一斉に飛び立ちます。一方、イエシロアリは茶褐色。6~7月の夜に飛び立ちます。
- 兵アリでの識別
- 兵アリは働きアリよりやや大きく、頭の先端に大きなハサミを持っているため、その頭の形で見分けます。細長く円筒状なのがヤマトシロアリ、卵型なのがイエシロアリです。
シロアリの害
ヤマトシロアリは、湿った木材を食べて栄養と水分を摂ります。あまり食欲は旺盛ではないので、加害の方も緩慢です。家の被害も、浴室や湿気の高い床下などの下部に集中しています。
イエシロアリは、繁殖力が強く、古材よりも新材を好みます。食欲は旺盛で加害も急激なため、被害が家屋全体に及んで家が倒れることもある危険種です。