食品に小さい茶色い虫が発生したらシバンムシかも?主な発生源と対策。

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2019/04/26
食品に小さい茶色い虫が発生したらシバンムシかも?主な発生源と対策。

「死番虫」と書いてシバンムシ。名前だけを聞くとすごく恐ろしい虫のように思えますが、刺したり吸血したりすることはありません。ただ、恐ろしいくらいに何でも食べるのは確かです。茹でる前のかたいパスタも食べ、そのパスタが入っている袋さえも破って侵入してしまう、わずか数ミリの小さな茶色い甲虫。可愛い見た目からは想像ができないほど、被害が大きくなってしまうそのワケとは?画像付きで解説していきます。

死番虫(シバンムシ)の由来とは。
キュートなルックスに似合わない名前はなぜついた?

シバンムシを漢字で書くと「死番虫」。見た目は小型のカブトムシの雌(メス)またはコガネムシのような雰囲気で、どちらかというと可愛らしい虫です。それにも関わらず、ちょっと不名誉な名前が付いてしまったのには理由があります。シバンムシの英語の名前は「Deathwatch」。これを“死の見張り番”と訳したことが、死番虫(シバンムシ)の由来となっていると言われています。たくさん発生するとコチコチという音を出すため、当時のヨーロッパではこの音が“死神が持つ時計の秒針の音“と表現されたようです。

けれど実際には、死へのカウントダウンではもちろんなく、このコチコチと響く音はシバンムシの雄(オス)と雌(メス)の求愛行動によるもの。もし求愛に成功してカップリングしてしまったら…さらなる繁殖に繋がるため、この虫を見つけたら無視はできません。食欲旺盛なシバンムシが大量発生してしまうその前に、発生しやすい場所や環境、食性・生態を学んでしっかり対策しておきましょう。

シバンムシは食いしん坊。
例えば、どんなものを食べる?

シバンムシは食品工場や倉庫、一般家庭にも発生し、食品害虫・ 貯穀害虫(ちょこくがいちゅう)として問題になりますが、ほとんどの個体は屋外に生息して樹木などを食べています。屋内で発見されるのはシバンムシの中では少数派。でも、決して侮ることはできません。種類によって食性は多少異なるものの、シバンムシは基本的に食いしん坊。食性が幅広いということは、餌(エサ)に困るリスクも低く、何でも食べるため被害も拡大しやすいのです。

書籍や古文書等を加害するフルホンシバンムシザウテルシバンムシ、絵画や屏風等を加害し、短い体毛で覆われているケブカシバンムシ等、食品以外に発生するタイプも存在します。日本の一般家庭で被害が多いのは、煙草死番虫(タバコシバンムシ)人参死番虫(ジンサンシバンムシ)でしょう。

タバコシバンムシの成虫の体長は約2~3mm。体色は赤褐色や茶褐色です。幼虫は乳白色の小さなイモムシで、成長すると3~4mm程度になります。タバコの葉にわくためこの名が付きましたが、食性の幅広さで右に出る虫はいないかもしれません。それくらい、何でも食べます。タバコ以外にどんなものを食害するかというと、例えば…

タバコシバンムシの成虫の写真(体長約2~3mm)
タバコシバンムシの成虫の写真
(体長約2~3mm)

1様々な食品

タバコシバンムシは乾燥食品が大好き。包材(パッケージ)を咬みやぶって、そうめん・パスタ等も食害します。米・麦・とうもろこし等の穀物、小麦粉・お好み焼粉・ホットケーキミックス等の穀粉、かつお節や香辛料、チョコレート等のお菓子、ペットフード…。被害に遭わない食材を探すほうが難しいかもしれません。

2ドライフラワー

乾燥した食品だけでなく、乾燥した植物も加害します。室内でシバンムシを発見した際は、どこからやってきたのか、またはどこが巣になっているのかを探してみましょう。ドライフラワーを棲み処にすることもあるので、お部屋に飾る前にシバンムシが付いていないか確認してみてください。

3畳(たたみ)

畳に発生しやすい虫といえばダニチャタテムシが思い浮かびますが、畳に小さな穴があいていたら、シバンムシの仕業かもしれません。ダニは肉眼では確認できないほど小さいですし、チャタテムシも穴をあけることはありません。畳が穴だらけになってしまう前に、退治するようにしましょう。

シバンムシの主な発生時期は5~10月。

タバコシバンムシの分布エリアは、北海道、本州、四国、九州。全国的によく見られる虫です。冬眠はせず幼虫の姿で越冬し、成虫が発生し始めるのは5月頃。成虫の平均寿命は最大で3週間程度と、比較的短命です。その間に幼虫のエサとなるものに産卵して世代交代をしながら繁殖し、9~10月に発生のピークを迎えます。

タバコシバンムシの成虫(体長約2~3mm)
タバコシバンムシの成虫
(体長約2~3mm)

雌(メス)1匹あたりの総産卵数は50~100個。卵は乳白色で1mmにも満たないサイズで、やや長めの楕円形。シバンムシの幼虫も、カブトムシやコガネムシの幼虫をそのまま小さくしたような姿です。蛹室の中で羽化し、羽化後2~3日すると蛹室から出てきてまた交尾して繁殖していきます。

タバコシバンムシの幼虫(体長約3~4mm)
タバコシバンムシの幼虫
(体長約3~4mm)

稀なケースだと思いますが、タバコシバンムシを飼育したい場合は、温度25℃、湿度60%以下の暗い部屋で育てると繁殖しやすいです。アース製薬では日々の研究のために様々な虫を飼育していますが、シバンムシは繁殖させやすい部類。プラスチック容器にトウモロコシの粉とビール酵母の粉末をまぜたものをエサとして一緒に入れておくだけで繁殖していきます。

トウモロコシの粉もシバンムシの好物
トウモロコシの粉もシバンムシの好物

アリガタバチの二次被害に注意!
シバンムシの予防と退治はお早めに。

シバンムシの天敵はシバンムシアリガタバチ(アリガタバチ科の寄生蜂)。害虫であるシバンムシの幼虫や蛹に寄生して退治してくれるのだから、ありがたい虫かというと、残念ながらそうではありません。アリの形に似ているけれどハチの仲間であるアリガタバチが人間を刺すことも…。被害は西日本で多い傾向にあり、畳の上で刺されたり、ベッドで就寝中に刺されたりすることもあります。大繁殖しやすい夏頃は特に、シバンムシを狙ってやってくるアリガタバチによる二次被害にも注意してください。

シバンムシアリガタバチ(体長約2mm)
シバンムシアリガタバチ
(体長約2mm)

人間を刺すのは産卵管を持った雌(メス)のみで、体長は2mm程度。体色は赤褐色でヒメアリに似ていますが、お尻が尖っていて、少しスリムです。刺された瞬間は痛みを伴い、その後、赤く腫れてかゆみも出てくるため、アリガタバチがやってくる前に、シバンムシが繁殖しにくい環境にしておくことをおすすめします。

シバンムシが発生しにくい環境とは?
  • 食材を冷蔵庫にしまう。
  • 常温保存している食材は瓶や缶に入れて保管する。
  • 日常的に掃除し、ダンボール等はすぐ捨てる。
シバンムシが発生してしまった際の対処法は?
  • 発生源を探し出し破棄する。
  • 見つけた個体は虫ケア用品(殺虫剤)で駆除する。
  • 家の周辺の木材等を片付け、粉剤タイプの駆除剤を散布する。

様々な食材を食い荒らすシバンムシはただでさえ迷惑な存在ですが、人を刺すアリガタバチが発生する原因となるため、立派に害虫としてのポジションを確立しています。シバンムシやアリガタバチは、市販の薬剤でも簡単に退治・駆除することが可能です。1匹でも見かけたら素早くスプレーして退治し、大繁殖させないようにしましょう。

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