働きアリの2割は働かない?
退治してもアリがいなくならないのはなぜ?
- アリ
- 2017/07/19
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社会性昆虫である蟻(アリ)。1つのコロニー(集団)には、女王アリ、働きアリ、兵隊アリ、雄アリ等がいて、階層ごとにそれぞれ役割を持ち、生活しています。その中で大きな割合を占める働きアリのうち2割は働かずに“補欠”として待機しているそうですが…そんなことって、アリ?
働きアリの法則。2:6:2の法則って?
働きアリには法則があって、アリのコロニーの全体を100とした場合、20が働き者のアリで、60が一般的なアリで、残りの20が怠け者のアリで構成されると言われています。これが「2:6:2の法則」です。働きモノのアリばかりを集めてもそのうち2割は働かなくなるというから、何とも不思議!
また、「80:20の法則」という、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則もあります。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論です。
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1つの巣にいるアリの数は種類によっても異なり、数十匹しかいない巣もあれば、数百万匹にも及ぶ巣もあるそう。卵を産む数匹の女王アリ、女王と卵の世話を焼く無数の働きアリ、そしてそれを監督する兵隊アリ、繁殖するために必要なオスのアリが存在します。
ちなみに、働きアリは全員メスで、寿命は1~2年。女王アリにエサを与えるために存在します。また、オスは子孫を残すために存在し、役目を果たしたら一生を終えるためさらに短命です。
すべてのアリが“甘党”ではない。
というより、かなり少数派。
アリといえば、飴や砂糖が好き。そんなイメージがある人もいるのでは?けれど、すべてのアリが“甘党”なわけではありません。アリの種類によって好みも異なります。
砂糖や蜜を好んでなめる吸蜜性のアリもいれば、ミミズや虫の死骸を食べる雑食性のアリも存在します。割合としは、吸蜜性は8%程度。そう、“甘党”のアリはとても少ないのです。アブラムシのおしりから出る甘露に集まるのは、少数派の吸蜜性のアリ。雑食性のアリは88%程度で、残りの4%は明らかになっていません。
あなたがもしエサを運んでいるアリを見つけたら…どんなエサを運んでいるかチェックしてみてください。
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大きなエサを見つけると、巣に戻って仲間を呼び、みんなで運ぶ働きアリ。甘い蜜などのエサは、その場ですぐ食べて消化するのではなく、いったん自分の胃(社会胃)の中にエサをためて持ち帰ります。そして、巣で仲間に分け与えるのです。なんだかとっても健気な生き物に思えてきますが…エサを求めて屋内に侵入したり、稀に人を咬んだりするので、ご注意ください。
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えっ、ウソでしょ?
地上のアリは全体のわずか3%!?
残念ながら、ウソではありません…。地上にいるすべてのアリを駆除できたとしても、それは全体のたった3%に過ぎないのです。残りの97%は巣の中にいるため、駆除は容易ではありません。
日本で被害報告が多いのはイエヒメアリ。もともとは熱帯産のアリですが、紡績船などの荷物と共に上陸したと考えられています。土のないところでも巣を作るため、家の中のちょっとした隙間や壁紙の裏などに巣を作って大繁殖してしまう、駆除が非常に難しいアリです。
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どんなところにでも巣を作ってしまう、特定外来生物のアルゼンチンアリという種類もいます。比較的小型で体長2~3mmほどですが、食欲旺盛でなんでも食べるのが特徴。地中だけでなく、枯葉の下、壁の隙間、カーペットの下、車のトランクの中に巣を作ってしまうことも!
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見つけたアリを駆除しても、次々にやってくる!
いったいどうすれば…
巣の中にいるアリが全体の約97%であることを考えると、巣から出てきているアリを見つける度に駆除しても、次から次へとやってきて、いなくならない!ということは、大いにあり得る話です。
では、どうすればいいのか―。
一見したところ、不可能のようにも思えますが、そんなことはありません。エサを巣に運ぶ働きアリの習性を利用すれば良いのです。アリは巣に持ち帰ってエサを仲間に分け与えるので、毒餌剤を運ばせることができれば、巣ごと駆除できます。
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次に課題となるのが、吸蜜性のアリもいれば、雑食性のアリもいるということ。どちらのアリもいる場合、またはアリの種類が分からない場合には…雑食性のアリが好む顆粒タイプの持ち運びやすいエサ(有効成分ヒドラメチルノン配合)と、吸蜜性のアリが好む甘い蜜成分の入ったゼリー(有効成分ジノテフラン配合)、2種類のエサが入っているタイプの虫ケア用品(殺虫剤)が便利ですよ。
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社会性昆虫のアリは、人間の社会と同じように役割を分担して生活しています。働きアリの2割が“控え選手”として待機しているようですが、私たち人間も待機ばかりしていないで、きちんと働き、成果を残したいものです。
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