お米にわく虫、コクゾウムシはどこからくる?
発生の原因と対処法。
- その他
- 2019/07/16
米びつ・米袋・米俵の中で、カブトムシの雄を小さくしたような3mm程度の黒い甲虫を見つけたことはありませんか?それってもしかしたら、コクゾウムシという貯穀害虫かもしれません。どこからともなくやってきて、気が付いたときには大量発生してしまう、そのワケとは?見た目はかわいいけれど、立派な害虫。コクゾウムシの与える害や予防・駆除方法について、画像と共に紹介していきます。
コクゾウムシの名前の由来。
ゾウの鼻のような部分の役割とは?
イネ科穀類の主要な害虫である「穀象虫(コクゾウムシ)」はその名の通り、穀類に発生しやすく、象の鼻のような部分を持つ虫。“カブトムシの雄に似ている”と言われることも多いのですが、この長い部位は角でも鼻でもなく、口(くち)です。コクゾウムシの雌は長い口吻(こうふん)を器用に使って穀類に穴をあけ、卵を産みつけていきます。米や麦1粒に卵が1つ。その中で孵化した幼虫はすくすくと成長して蛹となり、成虫となって米から出てきます。気付いたときには大繁殖してしまうことがあるため、1匹でも見つけたら退治するようにしてください。
コクゾウムシには様々な別名があります。米につきやすいことから「米虫」、長い口吻が角のように見えることから「角虫(つのむし)」、江戸時代の千石船に発生したことから「千石虫(せんごくむし)」と呼ばれたことも。実はかなり昔から存在していたと言われており、数百匹のコクゾウムシが練り込まれた縄文土器も発見されています。原始的な虫であり、また、グローバルな虫でもあるコクゾウムシ。熱帯から温帯にかけて広く分布し、日本だけでなく、海外でも問題になっているお米の害虫です。
コクゾウムシの種類と生態。
どんな環境で繁殖しやすい?
コクゾウ類はオサゾウムシ科に属する昆虫で、日本で見られるのは主に2種類。コクゾウムシ(成虫の体長約2.3~3.5mm)と、やや小型のココクゾウムシ(成虫の体長約2.1~2.9mm)です。コクゾウムシは飛ぶことができ、ココクゾウムシは飛翅能力を持つ個体と持たない個体が存在します。やや大型のグラナリアコクゾウムシ(成虫の体長約2.5~4mm)も日本で発見されたことがあるものの、定着はしていないようです。ちなみに、グラナリアコクゾウムシは後翅が退化しているため飛ぶことができません。見た目がよく似ているので、ちょっと見ただけではなかなか判断がつかないかもしれませんが、日本国内で最もよく見られるコクゾウムシについて解説していきます。
お米に発生するのはコクゾウムシだけじゃない!
その他に注意すべき虫とは?
近年、精米時の異物除去技術は進歩し、虫はもちろんのこと、割れた米、変色した米、虫食いのある米を取り除いているので、コクゾウムシを見かけるケースは減ってきています。けれど先述の通り、コクゾウムシは飛ぶことができ一般家庭にも侵入するため、油断は大敵。また、お米に発生するのは、コクゾウムシ類だけではありません。それ以外で注意すべきお米の害虫には、ノシメマダラメイガの幼虫や、コナナガシンクイ(別名:ナガシンクイ、オオムギナガシンクイ)の幼虫と成虫などがいます。
ノシメマダラメイガの幼虫は乳白色のイモムシで、終齢幼虫のサイズは約10~12mm。糸を吐いて穀物の粒を綴って巣をつくります。米が繋がったようになったり、成虫(10mm弱の小さな蛾)が部屋の中を飛んでいるのを見かけたりしたときには、この虫を疑ってみましょう。コナナガシンクイの成虫は暗褐色の細長い甲虫で体長は2~3mm。見た目はキクイムシにも似ていますが、食性が大きく異なるため簡単に見分けることができるはずです。
コクゾウムシを見たくない方、必見!
お米の上手な管理方法と虫よけ対策。
コクゾウムシは越冬するため主な発生時期は3月から11月にかけて。夏に発生のピークを迎えるため、その少し前、春頃から対策しておきましょう。食べるものには殺虫剤を使うことができないため、日頃からキッチンや室内を清掃し、防虫対策しておくことが大切です。
- お米や玄米に発生する害虫の予防に効果的な方法とは?
- 必要以上に買いだめしない。
穀類以外にも蕎麦などの乾麺や果物等に発生することもあるので注意しましょう。 - 設定温度5℃以下の冷蔵庫に保存する。
虫の侵入・繁殖を防ぐため、スペースに余裕がある場合は食べ物を冷蔵または冷凍保存してください。 - 常温保存する場合は風通しのよい場所で管理する。
コクゾウムシは光と乾燥が苦手なので、明るく風通しのいい場所で管理しましょう。
コクゾウムシは病原菌を運んだり、人を刺して吸血したりすることはありません。もたらす害は、ただ穀類などを食害するだけ。とはいえ、もしもお米や玄米に虫がウジャウジャいたら…考えただけでぞっとしてしまう方も多いのではないでしょうか。大量発生してしまう前に、きちんと害虫予防をしておくことをおすすめします。