奇妙に素早く動く銀色の虫、
紙魚(シミ)はどこからやってくる?
- その他
- 2019/06/17
本棚や書籍の近く、トイレやお風呂場、薄暗い部屋の壁、あるいは布団や障子や畳の上で…フナムシのような虫を見たことはありませんか?テカテカと光っていて、大きさは1cmくらい。もしかしたら、紙魚(シミ)という虫かもしれません。何といっても見た目が気持ち悪いこの虫、くねくねと素早く動く姿も奇妙で、ティッシュペーパー等で包んで潰すと銀色っぽい粉がつくところも嫌悪感をさらに増大させます。
と、散々な言われ様ですが、人体への影響はないのでご安心を。とはいえ、人に与える不快感は、ゴキブリ以上?何とも不思議な紙魚の謎に迫ります。この先は画像付きで解説していきますので、閲覧注意です…。
見た目は気持ち悪いが、オシャレな異名も?
無変態の原始的な昆虫、紙魚(シミ)。
「紙魚」と書いて、読み方は「シミ」。体形が魚に似ていて、紙を加害するため「紙魚」や「衣魚」とも呼ばれます。知名度は低いものの、意外と出現率の高い虫です。湿度の高い場所にも出現するため「湿虫」と呼ばれたり、銀色の鱗のようなもので覆われていてキラキラ光ることから「雲母虫(きららむし)」「きらむし」「箔虫(はくむし)」等と呼ばれたりすることも。欧米では英語で「silverfish(シルバーフィッシュ)」というかっこいい名前が付いています。
ゴキブリよりもさらに前に存在していたとされる紙魚は、シミ目シミ科の原始的な虫。その起源は3億年以上前と推定されていますが、現在のものと形態はほとんど変わっていません。紙魚は晩夏に分類される季語で、度々俳句にも登場します。また、平安時代中期の物語である源氏物語にも、『しみといふ虫のすみかになりて、ふるめきたるかびくささながら、あとはきえず(シミに食べられて古くカビ臭いけれども、文字は消えずにはっきり残っている)』と登場。かなり前から、書籍や掛け軸に発生しやすい虫として認識されていたようです。
絶食状態で1年以上生きることも。
紙魚は、生態も謎すぎる!
紙魚類(シミ類)は幼虫・成虫共に古本書等の糊付けされた表紙の表面や掛け軸等を加害してボロボロにしますが、穴をあけるほどの被害を与えることはありません。古書等に穴を発見した場合はおそらく、フルホンシバンムシ等の別の虫が犯人でしょう。
種類によって多少の変動はありますが、紙魚の体長は8~10mm前後。ボディは鱗片に覆われ、長い触角と尾毛(びもう)があり、やや短い6本の脚が特徴です。翅(はね)はないため飛ぶことはできません。ヤマトシミの成虫の体色はやや黒っぽく、セイヨウシミの成虫の体色は銀色で光沢があります。もともとは欧米の書籍害虫であったセイヨウシミが日本での分布を広げ、近年ではヤマトシミよりも多くなってしまいました。北海道でも大量発生して、問題になることがあります。温帯・熱帯地域に分布するマダラシミはその名の通り斑模様なので、先に挙げた2種とは見分けがつきやすいです。
どこからともなくやってきて、長居してしまう紙魚。
湿度が高い場所を好むけれど…?
また、湿度の高い場所を求めてバスルームに出現することもありますが、わずかの水で溺死してしまうという、ちょっと憎みきれない一面もあります。そんなギャップを知ったところで、嫌なものは嫌だという方は、ご紹介する紙魚の対策を実施してみてください。
もう見たくない!
紙魚の発生原因と対策は?
1こまめに掃除して紙類はすぐ捨てる
掃除は、紙魚に限らずあらゆる虫対策に有効な手段の1つです。エサや隠れる場所を減らして、虫が棲みつきにくい環境を目指しましょう。ダンボールや紙袋もすぐに捨てることをおすすめします。
2天気のいい日に虫干しする
大切にしている書籍や掛け軸、和紙等は、虫食いの被害に遭わないよう桐の箱等に入れて保管しましょう。また、定期的に日光にあてて「虫干し」することも、大変効果的です。
3見かけた虫は虫ケア用品(殺虫剤)で駆除する
ホウ酸団子や蚊とり線香を利用される方もいるようですが、紙魚にも適用のあるエアゾールの虫ケア用品(殺虫剤)を常備し、発見時に素早くスプレーして退治するのがおすすめです。