

トコジラミという名前はなぜついた?
一度は数を減らし、パワーアップして帰ってきたトコジラミ。

「南京虫(ナンキンムシ)」という別名もあるトコジラミですが、中国産の虫ではありません。中国や南京に関係ないためナンキンムシという名称は適切ではないという話になり、トコジラミという名前がついたと言われています。しかしながら、トコジラミは、床に発生するシラミ…でもありません。名前に「床(トコ)」とつく通り、ベッドや布団で寝ているときに刺されることが多いですが、名前に「シラミ」とつくものの実は「カメムシ」の仲間。カメムシほどの強烈なニオイを放つ訳ではありませんが、カメムシ目トコジラミ科のトコジラミも、潰すと独特のニオイがするちょっと不思議な虫です。ちなみに、カメムシは明るい場所が好きですが、トコジラミは明るい場所が苦手で、昼間はベッド・壁・床などの隙間に隠れています。

日本にトコジラミがやってきたのは江戸時代。その後、第二次世界大戦後に強力な殺虫剤によって一度は日本からほとんど撲滅されましたが、近年は都市部のホテルや旅館などに発生して問題となっているのをご存知でしょうか。海外からの旅行者のスーツケースや手荷物等に、薬剤に対する抵抗性を持つトコジラミ(スーパー・トコジラミ)が紛れて侵入し、そのまま日本に居ついて繁殖してしまったようです。日本では北海道から九州まで幅広いエリアで発見され、海外でもアジア各国だけでなくアメリカやヨーロッパでも幅をきかせているグローバルな害虫、トコジラミ。英語ではBed Bug(ベッドバグ)と呼ばれています。海外のお店の虫ケア用品コーナーへ行ったとき、トコジラミの駆除剤の種類の多さに驚くこともあるかもしれません。
飢餓にも寒さにも強いトコジラミ。
1匹あたりの産卵数も多く、繁殖力も驚異的!
8mmくらいの大きさになる個体もいますが、一般的なトコジラミの体長は約4.5~5mm。よく間違えられるダニとは違い、肉眼でも充分に確認ができる大きさです。頭は小さく、触角の後方に複眼があり、5齢を経て成虫になります。幼虫も成虫も同じような体形をしていて、体色は茶褐色です。
細長い口器(こうき)を持つトコジラミの主な栄養源は人間の血液。その他、ウサギ、モルモット、ネズミ、小鳥などからも吸血します。通常は厚みのない平たいカラダをしていますが、満腹状態になるとぷっくりとやや膨らむのが特徴です。トコジラミの幼虫は体重の3~5倍ほどの血液を摂取。成虫も吸血後は体長が2mmほど伸びます。3倍以上にふくらむマダニほどのインパクトはないかもしれませんが、トコジラミの吸血量もなかなかのものです。

写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部

(体長約4.5~5mm)

(満腹になるとすぐ逃げる)

写真提供:(財)日本環境衛生センター環境生物部
宿泊施設や飲食店から気付かずに持ち帰ってしまうこともあり、それがきっかけとなって一般家庭で繁殖してしまうことも…。まずは侵入させないことが大切ですが、トコジラミが発生してしまった場合には、どんな被害があり、どのような対策をすればいいのでしょうか?
トコジラミに刺されたのに、かゆくない人もいる?
ダニの被害と見分ける方法は?

トコジラミに刺されたくない方に試してほしい4つの対策。
グレードの高いホテルでも油断は禁物。ベッド・床・壁などの隙間にトコジラミが潜んでいたり、その抜け殻が落ちていたりしないか、確認してみましょう。同時に、黒っぽいシミがついていないかも点検してみてください。痕跡がある場合は部屋を変更してもらえないか依頼してみてもいいかもしれません。
エリアにもよりますが、トコジラミ専用の駆除剤は海外でも手に入れることができます。旅先で想定外の時間をとられないためにも、ホテル生活が長期にわたる場合は駆除剤を1本準備しておくと便利です。また、留学先やホームステイ先でも被害報告があるため、同様に用意しておくことをおすすめします。

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