「寝る前に歯みがきをしなさい!」と怒られた経験はないでしょうか。寝る前を強調するのはどうしてでしょう?
これにはちゃんと理由があります。就寝中は「唾液」の分泌量が減るからです。
では、唾液はどんな役割をするのでしょうか?
再石灰化の説明で、「唾液」が何度か登場しましたが、口の中の環境を整えるうえで唾液は大切な役割を担っています。
夜は、大事な唾液の分泌がほとんどなくなります。つまり、むし歯菌にとっては、1日で最も邪魔者がいなくなる最高の時間です。そのため、寝る前によく歯みがきをして、むし歯菌のエサとなる食べカスや糖分を除去する必要があるのです。
自分で歯を磨けるようになっても、子どもだけでは磨き残しがあるものです。お母さん、お父さんが毎日仕上げ磨きをしてあげてください。特に、乳歯はむし歯になりやすいので、上下の奥歯4本と、上の前歯、歯と歯の隙間に気をつけて入念に磨きましょう。
乳歯の奥の奥、いきなり永久歯として一番早くに生える歯があります。これが「6歳臼歯(第1大臼歯)」です。6歳臼歯は、ゆっくりと生えてきます。そして、全部が出るまでに1年から1年半もかかります。気づいたら奥から顔を出しているので乳歯と間違うことも多い歯ですが、絶対に見逃してはいけない歯です。この6歳臼歯は、食べ物を噛み砕く役割があり、永久歯の歯並びと、噛み合わせを決める大事な歯だからです。また6歳臼歯は困ったことに、とてもむし歯になりやすい歯です。それは、ゆっくりと生えるため、歯の高さが乳歯よりも低い時期が長く、とても磨きにくいことと、歯の溝が深く食べかすが残りやすいためです。
大切な歯なのに、お子様の歯みがきだけでは6歳臼歯を健康に維持するのは大変難しく、むし歯になってしまう子どもがたくさんいます。お母さん、お父さんが、毎日の仕上げ磨きの中で6歳臼歯が顔を出したことにいち早く気付き、大事にケアしてあげてください。
フッ素が歯のいちばん外側のエナメル質に取り込まれると、歯の表面の構造をより硬く変化させ、むし歯菌に負けないエナメル質に変化させます。
人はむし歯菌の酸で溶けても、再石灰化で正常な歯に戻るサイクルを持っています。酸で歯の成分であるミネラルが溶け出てしまう脱灰が起きたときに、唾液のミネラルを取り込んで歯を再生させるのが「再石灰化」です。そして、このミネラルを取り込む働きを促進させます。
むし歯菌が出す酸を抑制するチカラがあります。
酸を抑制することで、口の中をむし歯になりにくい状態に保ちます。