ダンゴムシとワラジムシの違いとは?
不快な虫を駆除してお庭をキレイに!
- その他
- 2019/04/25
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子どもたちに人気があるダンゴムシ。ツヤツヤとしたボディを指や枝でつつくと団子のように丸まる姿は、愛らしいとすら思えてくるから不思議です。一方、見た目はとてもよく似ているのに、丸くならないワラジムシはなぜか不人気。よくトイレの周辺にも発生するため便所虫(ベンジョムシ)と呼ばれることも…。特に北海道や東北地方では不快害虫としてのポジションを確立していて、気の毒な生物と言えるかもしれません。ダンゴムシとワラジムシ、他にはどんな違いがあるのでしょうか?
ダンゴムシとワラジムシを徹底比較!
似ているのはどこ?
まずは、似ているところについて挙げていきたいと思います。ダンゴムシとワラジムシはいずれも、エビやカニと同じ甲殻類の分類群である等脚目(とうきゃくもく/Isopoda)。この仲間は海水・淡水産が中心ですが、ワラジムシ類・ダンゴムシ類は陸上に適応した種類で、日本に定着しているオカダンゴムシはヨーロッパ原産です。体長・体色等の見た目に若干の差はあるもののよく似ていて、メスのお腹には卵を抱える育房(卵嚢・保育嚢)があります。生まれたばかりの赤ちゃんの幼虫は脚が6対12本で、数度の脱皮を経て最終的に脚は7対14本となり、成虫へと成長。いずれも人間に対して直接的な害を与えることはなく無毒で危険性はなく、むしろ枯葉や昆虫の死骸等を食べて土に返す「分解者」としての良い役割も果たしています。
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けれど、不快な見た目である上、しばしば屋内に侵入して不快感を与えたり、イチゴやジャガイモ等の栽培中の植物を食べたりするため、不快害虫・農業害虫として駆除の対象となりやすいです。夜行性のため、歩いている姿や食べている姿を見かけるのは主に夜間または早朝。昼間は朽ち木・枯葉・石・煉瓦などの下や、石垣や壁面の隙間に隠れています。乾燥した場所よりも湿度が高めの環境を好むため、お風呂場等にも度々侵入します。
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丸くなるのがダンゴムシ、丸くならないのがワラジムシ。
逃げ足が速いのがワラジムシ、逃げ遅れるのがダンゴムシ。
見た目や生態が似ているダンゴムシとワラジムシ。この2種類の虫を見分ける主なポイントは、刺激を与えたときに球状に丸くなるかどうかと、移動するときのスピード。いずれも日中は鉢の下等に潜んでいますが、鉢をどかした際に素早く逃げたらおそらくワラジムシです。一方のダンゴムシは…なかなか逃げないので簡単に捕獲できると思います。それ以外にどんな違いがあるのか、画像付きで解説していきましょう。
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(体長約12~14mm)
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光沢があり、やや厚みがある。
ダンゴムシ類のうち日本で圧倒的に幅をきかせているのは外来種のオカダンゴムシ。在来種の多くは森林や砂浜に生息しているため、お家の中や周辺ではあんまりお目にかかれません。在来種のコシビロダンゴムシは乾燥により弱いため自然が豊かな山の中に、同じく在来種でやや小形のハマダンゴムシは海辺の砂浜にある小石の下等に生息しています。
お庭や公園、学校の校庭等でよく見られるオカダンゴムシの成虫の体長は約12~14mm、体幅はその約2分の1。ワラジムシよりやや大きく厚みがあり、体色は艶やかな濃い灰色です。刺激を受けたり危険を察したりすると背板を曲げて団子のように丸くなります。ワラジムシと比べて食性は幅広く雑食性で、口器は大きめ。ウリ類・豆類・花卉類の新芽や葉、ミミズや様々な昆虫の死骸もよく食べます。
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(体長約12mm)
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光沢はなく、平たい。
ワラジムシ類は世界に1,500種以上いると言われていますが、日本にいるのはそのうち約100種類。成虫の体長は約12mmと、ダンゴムシよりもやや小さく、草鞋型(わらじ型)をしていてスリムです。体色は灰色または暗褐色で、ダンゴムシより淡い傾向にあります。おしりの部分をよく確認すると、ワラジムシの場合は尾肢(びし)と呼ばれる突起した部分が2本出ていて、ダンゴムシの場合は尾肢が隠れていて見えません。腐りかけの植物を好みますが、元気に育っている植物を食害することもあります。
関東以南に多いダンゴムシ。関東以北に多いワラジムシ。
それぞれの繁殖力と成長スピードは?
ダンゴムシとワラジムシは全国的に見られ、発生期間は1年中。けれど、主に発生するエリアや時期は異なります。どちらもメスのお腹の育房(卵嚢・保育嚢)で育ち、孵化後も母体に付着し、護られながら成長。生まれたばかりの赤ちゃんの幼虫も成虫とほとんど同じ姿をしていますが、サイズは小さく体色は白っぽいです。数度の脱皮を繰り返して成虫となるのですが、抜け殻は大事な栄養源となるためすぐに自分で食べようとします。稀に周囲にいる仲間に食べられてしまうことも…。余談ですが、“自分が纏っていた抜け殻を食べる”という習性はゴキブリと同じです。
ダンゴムシが主に生息するのは本州・四国・九州。関東以南で発生が多い傾向にあります。北海道では道南の一部で見られるのみ。気温20~25℃くらいで活発に動き、3~5月に菜園や畑の植物にも被害が増え、繁殖期に突入。産卵期は4~9月と長く、産卵数は餌(エサ)の種類や量によっても変動するようです。ダンゴムシの成長はややゆっくりで、成長の早い個体でも160日前後。一般的には12月頃から幼虫で越冬に入り、春頃に孵化した幼虫が成虫になるまでには1年以上を要します。
お庭だけでなく、家の中でも大量発生する原因は?
発生源にならない工夫と、退治・駆除方法。
もしもあなたのお庭や家の周辺、お家の中にダンゴムシやワラジムシが侵入しているとしたら、それは彼らの好む環境になってしまっているからかもしれません。発生源になってしまったり、発生した虫が繁殖したりしないように、しっかりと対策しておきましょう。
1多湿にならないよう換気・除湿。
お風呂場や洗面台、トイレ等の水回りは、どうしても湿度が高くなりがち。特に近年は、高断熱・高気密化が進み床下が温暖・多湿になったこともあり、ダンゴムシ・ワラジムシが出やすくなっています。春になり活動期に入ると、北国では雪どけと共にワラジムシが室内に入ってきて度々問題に…。バスルームに換気や乾燥の機能が付いている場合は定期的に利用してください。また、網戸の状態で換気することも有効です。日頃から除湿と排水口の掃除を心がけましょう。
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2お庭や玄関、畑や菜園を掃除。
ダンゴムシやワラジムシの温床となるのは、湿気のある落葉や鉢の下等。隠れ場所となる雑草や落葉を掃除したり、花や野菜のプランター、果樹や観葉植物等の植木鉢がある場合は、台に載せる等して風通しをよくしたり、工夫しておきましょう。また、ダンゴムシやワラジムシの好きな食べ物は腐った植物や、柔らかい新芽・若葉等。収穫が遅れて野菜を腐らせてしまったり、花が咲き終わったあとの「花がら」をそのままにしたりしないよう、注意してください。
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3虫ケア用品(殺虫剤)で対策。
どんなに心がけても日本で乾燥した環境を保つのはやや難易度が高いかもしれません。お家の周辺の除草や掃除をしてもダンゴムシやワラジムシが発生して困っている場合は、不快害虫用の駆除剤の利用がおすすめです。お家周辺の退治や室内への侵入防止には粉剤、見かけた虫を素早く駆除するならエアゾール、既に室内に侵入してしまった虫をまとめて退治するならくん煙剤・くん蒸剤。場所や用途に合わせて最適なものを選んでください。
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ダンゴムシとワラジムシについてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。不快な見た目と、どこからともなくやってきて大量発生することがあるため、不快害虫として確固たる地位を得ていますが、元を辿ればエビやカニと同じ甲殻類の仲間。等脚目(ワラジムシ目)で最大と言われる、深海に生息する大王具足虫(ダイオウグソクムシ/giant isopod)もサイズは違いますが、見た目はそっくり。こちらにはファンも多く、おもちゃやぬいぐるみ等、多数商品化もされています。ダンゴムシとワラジムシも人間に対しての害はないため危険視する必要はないかもしれませんが、大量に発生してしまって気になる場合は、駆除剤の使用を検討してみてくださいね。