カミキリムシの発生時期はいつ?
家周辺や室内で見つけたときの駆除方法。
- その他
- 2022/05/24
長い触角と強靭なアゴを持つ細長い甲虫、カミキリムシ(髪切虫)。その名の通り、髪をもよく切ることができる虫です。格好いいフォルムが特徴で美しい模様のある種類も多く、コレクターもいますが、一方で、庭木や果樹に寄生したり、木製の家具や建材に穴をあけたりするなど、害虫としての側面もあるため、駆除の対象となる虫でもあります。カミキリムシが発生しやすい時期や場所、お家まわりで見かけたときの対策や駆除方法について、ポイントをおさえておきましょう。
カミキリムシは種類によって、サイズも色も柄も様々。
観賞・飼育されることもあれば、駆除対象にも。
カミキリムシはコウチュウ目・カミキリムシ科の甲虫。世界でおよそ37,000種ほどと推定されていて、日本だけでも約800種ほど(亜種を含めると900種以上)が知られており、種類がとても多いです。サイズも様々で、5mm程度の小さいカミキリムシもいれば、50mmを超えるような大きなカミキリムシもいます。また、光沢のある黒い身体に白い斑点模様の「ゴマダラカミキリ」 、赤褐色と灰色のまだら模様で樹皮の色と似ている「ゴマフカミキリ」、生きているときはとても美しい瑠璃色(ルリ色)で死ぬと色が変わる「ルリボシカミキリ」 、黒いボディにクビの部分(胸部)が赤色で特定外来生物に指定される「クビアカツヤカミキリ」…など、色や柄も多岐にわたります。
コレクターや子供たちが観賞・飼育している例もあり、人気の昆虫でもあるカミキリムシ。しかしながら、幹に産み付けられた卵から孵った、別名「鉄砲虫(テッポウムシ)」とも呼ばれる幼虫が、庭木や果樹の幹の中を食害して脱出する際に穴をあけて植物を弱らせるため、園芸・ガーデニングを楽しむご家庭や、農家や果樹園の方々にとっては園芸害虫及び農業害虫として扱われます。また、キクイムシなどと同様に、木材害虫でもあるため、深刻な被害をもたらすことも…。手遅れになって後悔することがないよう、見つけたら早めに対処すべき虫かもしれません。
カミキリムシはどんな植物につきやすい?
発生しやすい時期はいつ?
自宅周辺やお庭で、キイキイ(キーキー)、ギイギイ(ギーギー)といった鳴き声が聞こえたら、近くにカミキリムシがいる可能性も。カミキリムシの種類によって食性が異なるため、被害に遭う植物も異なります。植物別に発生しやすいカミキリムシをまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
- 「キクスイカミキリ」が発生しやすいのはキク科の植物
主な発生時期:4月~6月
キクスイカミキリは、背中に赤い斑紋がある、体長8~9mmの小型のカミキリムシ。キク科の植物の茎に傷をつけ、その部分に産卵するため、被害部分から上に水や栄養を吸い上げることができず首が垂れて元気がなくなります。成虫の姿を見かけなくても、水やりしているのに植物が萎れてしまう場合には、カミキリムシの被害を疑ってみてください。マーガレット、デージー、都忘れ(ミヤコワスレ)、菊(キク)、矢車菊(ヤグルマギク)など、キク科の植物を育てている方は特に注意。また、ヨモギなどキク科の雑草が生えている場合には、除草しておきましょう。
- 「ゴマダラカミキリ」が発生しやすいのはカンキツ類・カエデ類・バラ科の植物
主な発生時期:1年中
ゴマダラカミキリ(別名:ホシカミキリ)は、比較的よく見かけるポピュラーな種類のカミキリムシ。青みがかった光沢のある黒色に、不規則な白い斑がたくさんあり、長い触角を持ちます。触角の長さでオスとメスを見分けることが可能(メスよりもオスのほうが長い)です。カンキツ類の害虫としてよく知られるゴマダラカミキリの食性は幅広く、カエデ類やイチジク・サクラ・リンゴなどのバラ科、サルスベリなどに寄生。夏頃になると成虫のメスが幹の下のほうに卵を産み付けます。約1週間で孵化し、幼虫は幹の中を食害し、その穴から木くずやフンが出てくるので、樹木・果樹の地際部を確認してみましょう。幼虫は7月~翌4月、成虫は5~7月に発生しやすいです。
- 「ルリカミキリ」が発生しやすいのはバラ科の植物
主な発生時期:4月~10月
ルリカミキリはその名の通り、瑠璃色(藍色または藍紫色)で、体長9~11mmの小型のカミキリムシ。幼虫が幹の中を食害して、繊維状の木くずがボロボロと出てきます。被害がひどい場合には枝が折れたり、枯死したりすることもあるので注意が必要です。生け垣として人気のカナメモチ・ベニカナメモチ・セイヨウカナメ(レッド・ロビン)やピラカンサ、庭木や盆栽としても人気のハナカイドウ(花海棠)やボケ(木瓜)、果樹園の他にお庭でも栽培されるリンゴ・ナシ・モモ・アンズ…これらバラ科の植物を育てている方は、幹の様子や樹勢をチェックしてください。
庭木・樹木・果樹以外のカミキリムシの被害。
建築材や薪などの伐採木も要注意。
木材の害虫といえば白蟻(シロアリ)が有名ですが、ナガキクイムシ、キクイムシ類、カミキリムシは建材の害虫として知られています。カミキリムシの幼虫が製材加工された丸太の内部で食害を続け、ある日、穴をあけて出てきて、新築の住宅の屋内で発見されることも…。その他、自宅周辺で育てている庭木・果樹・街路樹に寄生したゴマダラカミキリムシや、幅広い樹木や薪材や丸太にも集まるゴマフカミキリなどが換気やドアの開け閉めの際に迷い込むこともあるので要注意です。ゴマフカミキリの成虫は黒または濃い灰色の身体に、 「胡麻斑(ごまふ)」という名の通り、黄褐色の細かい斑点が散らばっていて、幹にとまっていると保護色になって発見が難しいかもしれません。成虫はサクラ、ヌルデ、イチジク、フジ、柑橘類など幅広い樹木に集まり、幼虫は栗(クリ)やコナラなどのブナ科、ウルシ科にも発生するため、該当の植物を栽培されている方は、日頃からチェックしておきましょう。
自宅周辺や家の中でカミキリムシを見かけたら?
予防と駆除のポイントとは。
庭木・果樹・街路樹の樹勢を強くしておく
水やりや肥料を与える際など、日々のお世話のついでに、植物の状態をチェック。幼虫の食害の目安となる木くずがないか、脱出孔(脱出穴)がないか、確認してください。木の根元に近い場所に産卵する傾向があるため、そのあたりを重点的に見てみましょう。
定期的な剪定と枯れ木の掃除
植物の元気がなくなると産卵されやすくなるため、古い枝などは剪定して、元気に育っている枝を残しましょう。剪定後の枯れた枝などはすぐに処分してください。そのまま放置しておくと、カミキリムシが集まってくることがあります。
発見した成虫は捕獲・駆除
成虫が木の幹に穴をあけて卵を産み付け、その中を幼虫が食害していきますが、樹齢の浅い幼木などは枯死することも。産卵されると被害が大きくなるため、成虫を見かけたらすぐに駆除することをおすすめします。
樹木に穴を見つけたら幼虫を駆除
カミキリムシの幼虫が幹の中に入っていると思われる場合は、針金タイプのハンガーや針金を使って、中の幼虫を取り除き、駆除してください。
被害に気付けるように除草を徹底
庭木まわりに雑草が生えていると被害に気付きにくいため、除草しておきましょう。植物まわりで使用できる除草剤もあるので検討してみてください。
家の中に侵入したカミキリムシは駆除剤で対処
家の中に、材質が木材の家具や建材がある場合は特に注意。適用害虫にカミキリムシが含まれる、不快害虫用エアゾールやスプレー、または、くん煙剤などで駆除することができます。
カラフルで特徴的な模様がある種類も多いカミキリムシはコレクターや子供たちに人気の昆虫である一方、庭木や木材を加害する厄介な害虫でもあります。樹齢1~2年目の若い苗木などは、幼虫1匹が寄生・加害しただけで致命傷となり、枯れてしまうことも…。また、家の中の木材を加害された場合、深刻な状況になってしまうこともあるため要注意です。1匹だからと油断せず、カミキリムシを見かけたら、すぐに対処しましょう。