花が咲かないのはなぜ?
綺麗な花をたくさん咲かせる4つのポイント。
暖かい季節になると、園芸店で売られている鮮やかで美しい花々についつい目がいってしまいますよね。お気に入りの一鉢を手に入れて「大切に育ててたくさんの花を咲かせたい!」と思っていたのに、なぜか花が咲かなかったり、枯れてしまったり…。
植物は種類によって向いている環境や育て方が違いますが、実は花を咲かせるための大前提はそれほど違いません。ここでは初心者さんのために、おさえて欲しい4つの育て方のポイントをご紹介します。
野菜・花・果樹 育て方2022/04/13
どうして花が咲かないの?
1.育てている場所の日当たりを確認しよう
花が咲かない、元気がないと思ったら、その植物が置かれている環境をチェックしましょう。植物を元気にして花を咲かせるには、その植物が好む場所で育ててあげることが必要になります。
どの植物も日光を浴びて光合成をすることが大前提となりますので、まずは日当たりの良い場所で育てているかを確認しましょう。 「日当たりの良い場所」とは、1日の日照時間が6時間以上ある場所のことを指します。特に午前中に日が当たることを好む植物はとても多く、日当たりが良いほど多くの花を咲かせます。日当たりが良いと思い込んでいても、時間によっては日が差さなかったり、近くに大きな物が置かれていてその陰になってしまっている、なんてことがあるかもしれません。日照時間が足りていないなと思ったら、より日の当たる場所に移動してあげましょう。
梅雨時期やくもりが続く季節は、どうしても花つきが悪くなってしまいます。晴れるまで待つか、どうしても日照時間の確保が難しい場合は、半日陰を好む植物を選ぶことも検討してみましょう。半日陰を好む花には、アジサイ、ベゴニア、インパチェンス、クリスマスローズ、スズランなどがあります。購入する時、付けられたラベルにその植物が好む環境について説明が記載されていますのでチェックしてみてください。ラベルをなくしてしまった場合はWEBサイトなどで確認することもできます。
2.日々のお手入れ、水やりと肥料について
日当たりの次に気を配りたいのは、日々のお手入れ。毎日のようにすることでも、迷っている方が多いのは「水やり」ではないでしょうか。大切に育てるあまり、水を与えすぎて植物が根腐れを起こしてしまうということは意外と多いのです。土の表面を触ってみて乾いていたり、鉢を持ち上げて軽いと感じた時が水やりのサインです。
ただし、季節によって土が乾くスピードは違ってくるので注意しましょう。夏の晴れた日は日差しが強いので、土の表面が乾いているかを確認してから、朝と夕方の1日2回の水やりをしましょう。日差しが弱まる秋以降は水やりは土の表面の乾燥具合を確認しながら1日~2日に1回程度にしても大丈夫です。
花をたくさん咲かせたいなら、不可欠なのは肥料の存在です。開花時期が長い品種はたくさんの花芽をつけてくれますが、その分だけ栄養が多く必要となります。栄養が足りなくなると次第に花色が悪くなったり、花数が減ったり、付ける花自体が小さくなってしまったりします。
肥料不足を防ぐためにも、液体肥料なら週1回程度、置肥なら1~2ヵ月に1回程度あげるのがおすすめです。液体肥料は水やりのタイミングで、水やりの代わりに鉢底から流れ出るまでたっぷりとあげてください。鉢植えではすぐに流れ出てしまうので、薄めたものを回数多く与えるのがコツです。花付きを良くしたいなら、特にリン酸(P)が多めに含まれた草花用肥料を選びましょう。置肥は固体肥料で、用土の上に置いておくと水やりでゆっくりと溶解し、効果が長続きするのが特徴です。
よく肥料と間違えて使っている方も多いアンプルタイプの土に挿してつかう活力剤は、肥料とは異なり効きめはとってもマイルドです。活力剤だけでは花つきが劇的に改善されることは難しいので、たくさん花を咲かせたいなら肥料の使用がおすすめです。
元気がないな、と思ったら
3.病害虫の対策をしよう
植物の葉や茎が変色してしまう、葉が落ちてしまうなど、異変を起こす原因として考えられるものに病気と害虫があります。病気はカビや細菌、ウイルスなどの病原菌が感染して起こるもので、よく知られているものにはカビ(糸状菌)が原因のうどんこ病、褐斑病、黒星病、灰色かび病や、細菌が原因の青枯病、ウイルスが原因となるウイルス病やモザイク病などがあります。発生の予防として、植物は風通しの良い場所で育て、花は清潔な状態にしておくことが大切です。
病気にかかってしまったら、発病している部位や株全体にまんべんなく適用のある薬剤を散布しましょう。発病してしまった箇所は元の状態には戻らないので、発病を未然に防ぐために予防効果のある薬剤を、あらかじめ散布しておくことも効果的です。病原菌は土の中に潜んでいることが多いので、定期的な土替えや天地返しすることも病気の対策となります。
注意して欲しい病気とよく似たまぎらわしい症状に、「生理障害」があります。肥料成分の過不足によって葉の変色や腐敗が起きたり、直射日光による日焼け、低温・高温や水のやり過ぎによる変色が発生したりします。これらは病気と間違えられやすいですが、環境を変えることで改善することができます。
見た目が悪いだけでなく、植物の生育を妨げる虫の発生は厄介な問題です。虫の生育は温度に大きく影響されるので、寒くなっていく秋栽培よりも気温の上がる春~夏に対策が必要となります。植物を育てていると様々な害虫に狙われますが、害を及ぼす害虫は大きく2種類、植物の葉や茎を食べ荒らす「食害性害虫」と植物の汁を吸う「吸汁性害虫」に分けることができます。
食害性害虫としてよく知られているものには、ヨトウムシ類、ケムシ類などがあります。吸汁性害虫は、アブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類などが特に発生しやすいので気をつけましょう。害虫は一見するとわかりにくい、葉の裏や土の近くに潜んでいます。水やりの時などに、植物の状態を細かくチェックすることを習慣づけてください。害虫や害虫が食べた跡を見つけたら、早めに取り除いたり、適用のある薬剤を散布したりしましょう。予防効果のある薬剤を事前散布しておくこともおすすめです。
4.花を増やすためのテクニック:摘心・切り戻し・花がら摘み・植え替え
無事に新芽や蕾をつけたからと、安心するのはまだ早いですよ!綺麗な花をたくさん付けたいなら、摘心、切り戻し、花がら摘み、植え替えを忘れずに行いましょう。このひと手間で花の数がグッと増える大切な作業なので、次の方法を参考にして実施ください。
- 摘心:摘心とは、芽の先端を摘み取る作業のこと。目安は、鉢からはみ出して新芽が出てきたらその部分をカットします。先端の芽を摘むと、その下の節にあるわき芽が伸びて枝の数が増えるので、ボリューム感が出て花がたくさん咲くようになるのです。鉢全体が葉で覆われるタイミングまで、2~3回行うのが理想的です。
- 切り戻し:切り戻しは花が咲き終わった枝(茎)をハサミなどで切り取る作業です。特に開花期間が長い花の場合には、梅雨前と夏の終わり頃の2回、切り戻し作業することをおすすめします。切り戻しをすると株の栄養を次の花にまわせるだけでなく、株の形を整えることで見栄えも良くなります。
- 花がら摘み:咲き終わってしおれた花のことを花がらと呼び、それを摘み取る作業を花がら摘みと言います。花がらはそのままにしておくとカビが生えたり腐って病気が発生したり、種をつけることに栄養をとられるので花数が減ってしまうこともあります。花がらを見つけたら、できるだけこまめに花がらを摘むのが長く楽しむコツです。ペチュニアやトレニアなどは花部分だけを摘み取り、茎のあるシクラメンやデージーは花茎ごと、プリムラやマリーゴールドは枝や花茎をカットします。
- 植え替え:長く育てていると、鉢の中で根がいっぱいになった根詰まり状態になってしまうことがあります。土の水はけや通気性が悪くなり、生育にも悪影響を与えるので根を整理して植え替えを行いましょう。たくさんお花を咲かせるためには、根ものびのびと成長できる状態であることが必要不可欠ですので、苗よりも一回り大きい鉢を選ぶようにしてください。
いかがでしたか?今年こそ上手に育てられそう、という自信がつきましたか?失敗することを恐れずに、お気にいりの花を「大切に育てよう」という気持ちで、栽培にチャレンジしてくださいね。