ベランダ&お庭の害虫対策。
葉っぱが食べられた!この虫、なに!?
暖かいぽかぽか陽気の下では、ガーデニングにも力が入りますよね。植物にとっての嬉しい季節は、困ったことに害虫たちにも嬉しい季節なのです。虫が苦手な方には、本当に憂鬱な時期かもしれません。…でもご安心ください!早めに対処すれば、いつもよりも早い段階で、被害を食い止めることができるかもしれませんよ。まずは知識を身につけるところから、始めてみましょう。
病害虫の対策2019/03/27
食べられている葉や花を見つけたら:食害性害虫
葉っぱの穴や、虫をみつけたら
育てている植物の数が少なくても、ベランダや屋上などの比較的虫が少ない環境でも、害虫被害は発生します。まずは野菜や花の葉を、よく見てみてください。穴が開いていたり、ひょっとしたら小さな虫がついていたりしていませんか?見つけた時はショックかもしれませんが、早期発見&対処することが、植物を守るために何より大切なこと。虫がいたらすぐにつまみ取って、またその周囲の葉もじっくりと見て、別の虫や卵がついていれば取り除くようにしましょう。
日当たりや風通しが悪く、湿度の高い状態では虫が発生しやすくなります。虫の予防には環境も重要な要素となりますので、日ごろから日当たりや風通しなどに気を配り、虫のすみかになりやすい落ち葉や花がら・雑草などがないか、こまめにチェックすることをおすすめします。
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野菜でよく見かける虫:アオムシ、ヨトウムシ類、ナメクジなど
育てている野菜の葉、特にキャベツやブロッコリー、コマツナなどアブラナ科の葉に穴があいているのを見つけたら、アオムシを疑ってみましょう。アオムシはモンシロチョウの幼虫で、黄緑色をしていて全身が細かいうぶ毛に覆われています。見つけたら駆除するか、育てている植物とその虫に適用のある薬剤を散布しましょう。また葉裏もチェックしてみて、1mm程の黄色い粒が付いていたらそれは卵かもしれませんので、孵化する前に取り除くようにしてください。
虫食い跡があるのに、日中探しても虫が発見できない場合は、夜間や早朝にチェックしてみてください。ハスモンヨトウなど蛾の幼虫であるヨトウムシ類が見つかるかもしれません。若齢幼虫は葉の裏側から食害し、食べ跡は表皮1枚を薄く残した状態になるので、葉が白く透けて見えるのが特徴です。食欲旺盛で葉を食い荒らしてしまうため、卵や小さい幼虫の頃に早い段階で駆除することが、被害を最小限に食い止めるためにも重要となります。
新芽や若い葉、花などに大きくかじられた跡があったら、それはナメクジの仕業かもしれません。ナメクジは雑食性ですが植物、特にアブラナ科の植物を好みます。夜に活動するので日中は鉢底などに潜んでいますが、ナメクジが這った後には白っぽく光る筋ができるので、発見しやすいかもしれません。見つけ次第、捕殺するか専用の駆除剤を使用するなどして対処しましょう。
食害性害虫の予防には、防虫ネットの活用も有効です。防虫ネットをかける時は、あらかじめ葉裏や土などに害虫がついていないことを確認し、ネットをしっかり固定して隙間から入り込むことがないようにすることがポイントです。
花でよく見かける虫:ケムシ類、ハバチ類、コガネムシなど
椿などの庭木で発生しやすいチャドクガは、その名の通り蛾の幼虫で体がたくさんの毛に覆われているケムシの仲間。ケムシ類には体に毒のある毛(毒毛)を持つ種類がありますので、素手で触ってしまわないように注意しましょう。バラを育てているならハバチ類には気を付けてください。特にバラの大敵といわれるチュウレンジハバチは、葉の裏側に群生し、葉を食べつくしてしまいます。幼虫はアオムシと似ていますが、ハチの仲間です。どちらも数が少ない場合は、粘着性の弱いクラフトテープやセロハンテープなどを活用すると、葉を傷つけずに取り除くことができます。多く発生している場合は、適用のある薬剤を上手に活用すると良いですよ。
葉についている甲虫を見つけたら、それはコガネムシの可能性あり。多くの樹木や果樹につき、新葉を食い荒らすやっかい者ですので、見つけたらすぐ退治することをおすすめします。また幼虫も根を食害する害虫ですので、何より成虫に卵を産ませないことが大切です。
葉の変色や、模様を見つけたら:吸汁性害虫
アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類、カイガラムシ類など
葉の色が変色していたり、小さな粒状のものが付いているのを見つけたら、それは害虫による被害かもしれません。葉に穴をあける食害性害虫と区別して、植物の汁を吸う害虫は吸汁性害虫と呼ばれます。植物から栄養分を吸い取ってしまい、成長を阻害するのです。例えば、ワタアブラムシやイバラヒゲナガアブラムシなどのアブラムシ類。野菜や草花、庭木や果樹などのほとんどの植物に発生します。特に新しい葉や新芽に発生しやすく、1~4mm程度の小さな虫がびっしりと群生します。
野菜や草花の葉の裏を見た時、白い斑点が沢山できてカスリ状になり、小さな赤い粒のようなものが付いていることがあります。これはカンザワハダニなどのハダニ類による被害の特徴です。被害が進行するに従って葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもありますので、虫が小さいからと言って楽観視してはいけません。適用のある薬剤を活用したり、発生前の予防として特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布したりするのがおすすめです。
葉裏に1mm程の小さな白い虫が何匹もついているようなら、それはオンシツコナジラミなどのコナジラミ類でしょう。幼虫も成虫も葉の裏に付いて吸汁し、多発すると排泄物でベトベトになり、葉が縮れたり生育が阻害されて作物が衰弱したりします。
樹木の幹や枝などにゴツゴツとしたものや白いブツブツが付着していたら、近づいて見てカイガラムシ類かどうか確認してください。カイガラムシ類は吸汁するだけではなく、排泄物によりすす病を誘発する可能性があるため、見つけ次第ブラシでこすり落とすか、被害の出ている枝を切り落として処分してください。
葉の変形や変色、カビの発生なら:病気と生理障害
主な病気:うどんこ病、灰色かび病、ウイルス病など
葉が小麦粉をまぶしたように白くなっていたら、カビによる病気であるうどんこ病にかかった可能性があります。多くの植物が発病する代表的な病気で、菌糸を植物の組織の中にのばして栄養分を吸収し、進行すると、茎や葉がねじれたようになり、ひどい場合には葉が黄化して枯れてしまいます。病気は伝染するため、病気になった部分は切り落としましょう。予防として特定防除資材の「酢」が原料の製品を、あらかじめ散布しておくことも有効です。
花びらや葉の表側に淡い黄色の斑点模様ができたり、葉の裏側にカビが生えてきたりしていたら、灰色かび病を疑ってください。カビ(糸状菌)が原因の病気で、進行すると徐々に色が濃くなっていき褐色となって枯れてしまいます。発病した葉は早めに処分すると共に、土壌に菌が残留している場合があるため、鉢植えなどは土を変えることをおすすめします。
葉に濃淡のあるモザイク状のまだら模様が現れたら、ウイルスによる伝染性の病気であるウイルス病かもしれません。アブラムシ類やアザミウマ類、コナジラミ類によってうつされることが多く、花や葉緑が縮れて株全体の生育が抑制されてしまうのです。病気部分を切除すると共に、これらの害虫の発生にも注意しましょう。
それ以外の症状なら「生理障害」を疑ってみる
大切に育てている植物が大きく育たなかったり、黄色や黒に変色したりすると「どうしよう!病気や虫が原因かも?」と心配になりますよね。しかし、病気と似たようなまぎらわしい症状に、「生理障害」による症状というものがあります。例えば、肥料の与え過ぎや不足が起こると、葉や果実に腐敗(黒くなり腐ったように見える)などの症状が現れます。トマトの場合は、カルシウムが欠乏するとお尻部分が黒くなって腐ったように見えるので、感染症の病気と間違われてしまうこともあるのです。
また、日光による日焼け、低温・高温などの温度、過剰な水やりなどによって葉が変色することもありますが、これらは病気などの感染症と違って感染することはありません。まずは落ちついて植物の症状をじっくりと見て、病害虫の被害ではない場合は生理障害を疑って、生育環境を見直しましょう。
いかがでしたか?症状と対策を知っておけば、それほど不安になる心配はありません。植物好きのお友達が困っているようなら、アドバイスしてあげるのもいいですね。虫や病気を煩わされることなく、ガーデニングライフを楽しみましょう!