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基本情報
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病気・害虫
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よくあるご質問
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この栽培に役立つ情報
基本情報
栽培難易度
真っ赤で栄養豊富なトマトは、料理やお弁当を美しく彩るのに欠かせない野菜。サラダやジュース、煮込み料理や炒め料理など、どんなレシピに入れてもOKな美味しさが魅力です。育てやすくコストパフォーマンスもよいので、毎日の食卓に並べたい方にはベランダ菜園がぴったりですね。
- 科名 属名
- ナス科トマト属
- 収穫までの期間
- 約60日
- 主な病気
- うどんこ病・青枯病
- 主な害虫
- アブラムシ類・ハダニ類
- 発芽適温・生育適温
- 発芽20~30℃、生育25~30℃
- 必要な栽培スペース
- プランターの周囲に約10cmほど余裕があればOK
- 水やり
- 朝、葉がしおれ始めているようなら水を与えます。乾燥した環境が好きなので、乾き気味でOK
- 土
- 弱酸性~中性(pH6.0~7.0)
栽培スケジュール
画像を拡大する準備
- プランター
- 大型サイズ45L
トマトは根がしっかり張るよう、土がたっぷり入るサイズを選びましょう。
- 野菜用の培養土
- 新しい土を使ってください。市販の「野菜用培養土」を使うと手間がかからず、プランターに入れるだけなので簡単です。
- 化成肥料
- 元肥タイプを使用しない場合に化成肥料を土に混ぜます。また、生育中の肥料として使用します。
- 底石用の軽石+ネット袋
- 水はけをよくするためにプランターの底に入れます。その際、ネット袋があると片付けの際楽なので、ネットに入れて底に浅めに敷きます。
- 支柱
- 太さは16~20mmで長さは200cm位のもの
植え付け
1. 苗の準備
購入時のポイント
初心者は種よりも苗を買うのがおすすめです。
次のポイントに注意して苗を選びましょう。
- 丈夫な苗を選ぶ
- 双葉がしっかり残っているもの
- 節間が均等で詰まってしっかりしているもの
- 根がしっかり回っているのがポットの底から確認できるもの
- 健康な苗を選ぶ
- 葉色が濃く、茎が太いもの
- 根元がグラグラしないもの
- できるだけ大きめのポットで育てられたもの
- 病害虫の被害を受けてないもの
- 花房のついたものを選ぶ
- 1番目の花芽がついているか、花が咲いているもの
- すぐに植えられるもの
2. 苗の植え付け
プランターの準備
底石用の軽石をネットに入れて、軽く水で洗いプランターの底に薄く敷いてください。
それから、土をプランターの8分目程度を目安に入れてください。
植え付けの手順
- スコップで苗と同じぐらいの大きさの穴を掘る。
- イラストのように人差し指と中指で苗をやさしく挟んで、そのままポットごと、ひっくり返し、土の部分を崩さないようにゆっくりポットを引き上げる。
- 苗をやさしく鉢土ごと①の穴に植えます。このとき、鉢土の1/5がプランターの土から出るくらいに浅く植えるのがコツです。
※2株以上植え付ける場合は、第1花房を内側に向かい合わせて植えないようにしましょう。実がなったときに密集してしまい、日当たりが悪くなってしまいます。株間は40cm程度が適当です。 - 植えたら土を2~3cmかるくかけ、底から水が出るぐらいたっぷり水をあげましょう。
ポイント
植え付ける際に気をつけること
苗の根は非常にデリケートなので、傷つけないように丁寧に扱いましょう。根を傷つけると病気になりやすくなったり、そこから枯れてしまったりすることがあります。
植え付け時期
生育するための適温は、25~30℃です。気温が上がってから植え付けるのが最適です。第1花房の開花始めか、その少し前くらいに植えるようにします。
栽培
1. 支柱立て
植物が支柱に沿ってまっすぐ成長できるように、ひもなどで支柱と茎や葉を固定することを言います。
トマトは、縦によく成長し、また実も大きくなるため、支柱を立てないと実の重さで植物自体が倒れてしまうことがあるので、支柱立ては必須と言えるでしょう。
方法
- 土に支柱を立てる植え付けた苗の両端、また、根元から10cmほど離した位置に支柱を差します。
- 支柱を交差させる数本立て終わったら、支柱を横に向け、既に立てている支柱と交差させてテープでしっかりと結びます。
支柱全体がマス目状になるようにしたら完成です。
2. 苗を誘引しよう
誘引とは、植物の茎やつるを支柱に結び付けて、形を整えることです。トマトの場合は茎がまっすぐに育つよう、縦に誘引します。
植え付け後は、すぐに支柱と苗を結んで固定します。週1回程度、状態を確認して結び直しましょう。
支柱と植物を結ぶ時は、ひもを8の字にします。トマトが大きくなることを踏まえ、結ぶ輪は大きめに作ってあげましょう。隙間を作らず固定してしまうと、ひもが成長した茎に食い込み、植物の成長を妨げてしまいます。
3. わき芽摘み(芽かき)
わき芽とは、葉や茎の付け根から出る芽(枝)のことです。
トマトは中央の一番太い茎である主枝から側枝を1本ずつ伸ばします。その主枝と側枝の間にできる芽がわき芽です。これを摘み取ると、実が大きく育つほか、日当たりや風通しがよくなり、病害虫の発生も予防できます。
ポイント
トマトは放っておくと、すべての葉の付け根にわき芽が出て、かなり多くの実がなります。うれしい気もしますが、そうなるとそれぞれの実に栄養が分散してしまい、小さくてあまり美味しくない実に育ってしまいます。
1回目は植え付け後1週間を目安に、晴れた日に行いましょう。
根からまっすぐ伸びている一番太いものを主枝にし、主枝と葉のV字になっている間に出てきているものがわき芽です。よく見て全て取り除いてください。道具は不要、手でOKです。
ポイント
今後は頻繁にわき芽を見つけたら取るようにします。わき芽は何度も生えてきます。放置して大きくなるとどれがわき芽か区別ができなくなるので、早めの対応が大切です。
4. 追肥
栄養状態の確認方法
栄養不足の場合
- 葉がY字になり、硬化してやや上を向いた状態(上巻き気味)
- 茎が細く(健康な茎は太さが1~1.2cm程)、色が薄い
対応
即効性のある肥料を追加しましょう。
逆に、葉が軽く下に曲がっていたら栄養が行き渡っている証拠なので追肥不要です。
追肥の方法
トマトの追肥には液肥がおすすめです。液体タイプの肥料や活性剤は、土だけでなく植物に直接散布できるので即効性が期待できます。
即効性のある化成肥料がある場合は、株元から5cm離れた株間などに、1株10g程度を追加します。
- 追肥1回目
基本的に、植えて1ヵ月後を目安に、第1段目の果実がピンポン玉ぐらいの大きさになった頃に行います。
ただし、栄養状態をチェックして、栄養が行き渡っている状態であれば、追肥は見送ります。 - 追肥2回目以降
先端付近の茎や葉の状態を観察し、栄養不足であれば肥料を与えてください。
ポイント
トマトはもともと痩せた土地で生育する野菜なので、肥料は少なめに与えることが美味しく育てるポイントです。
5. 摘心
トマトが背高く伸び、支柱の先端に届くぐらいになったら、「摘心(てきしん)」といって茎の先端を摘み取る作業をする必要があります。
トマトは苗の下の方から花房が付いていくので、茎が伸びすぎないよう茎葉の成長を止めることで実の成長を促すのです。
6. 摘果
成熟前の果実を選別して摘み取る作業を「摘果(てきか)」と言います。摘果後に残る果実には摘果前より多くの栄養が行き渡るので、成熟した大きな果実を育てることができます。
もし摘果を行わないと、実が大きく育たなかったり、他の花房に栄養が行き渡らず、花が落ちて実がつかなくなる可能性があります。
方法
形の良くない悪玉を優先的に選んで摘み取るようにし、1花房あたり、状態の良い2~3個程度を残すことを目安にします。
収穫
タイミング
収穫時期の目安は、最初の花が咲いてからおよそ45~50日くらいです。
できるだけ赤く完熟したものから順番に収穫します。美味しい状態のトマトを収穫するには朝の涼しいうちに行うことがポイントです。
他の実を傷つけないよう、できるだけ短く、手でもぎとりましょう。
ポイント
トマトは木が完全に枯れるまでは収穫が可能なので、枯れるまでは捨てないようにしましょう。
※注意点
トマトが赤くなった後に大雨に当たったりすると実が割れてしまう恐れがあります。また、割れて落ちたものを放っておくと、虫が寄ってくる原因になるので、すみやかに処分しましょう。
病気
うどんこ病
葉に斑点ができ、白っぽいカビのようなものが生え、やがて枯れます。うどんこ病は気温が高く湿度が低い環境(4~10月に多い)で、温度が17~25℃ぐらいのときに発生しやすくなります。真夏・真冬は自然治癒してしまいます。
対処法
- 予防特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
- 対処症状が軽い場合は感染した葉だけちぎって様子を見ます。ちぎった葉は必ず廃棄することが重要です。
青枯病
青枯病は、根に付いた傷から菌が入って、株全体が青い葉のまま数日後に立ち枯れてしまう病気です。土から伝染する土壌伝染病で、土中の水分が過剰になると発病しやすくなります。根が傷むとさらに発病しやすくなります。
対処法
青枯病が一度全面的に発生すると、治癒が難しく、株を処分するしかありません。
発症した土は、土壌消毒で病菌を完全殺菌するか、5年以上の間隔をとるなどの対策が必要になり、土の再利用も難しいです。
トマト褐色腐敗病
病気が進行するとヘタの部分が茶褐色になります。さらに進行すると実が褐色になり腐ってきて、やがて灰色のカビに覆われます。
対処法
- 予防水のやり過ぎには注意し、なるべく風通しを良くする。病原菌は害虫の食害跡や、窒素過多により軟弱に育った植物組織などから侵入するので、害虫防除、肥料の管理を適切に行えば予防できます。
- 対処感染した場合は、枯れた部分にも病原菌が残っているので、なるべく枯れた部分を除き、殺菌剤で消毒します。
尻腐れ症
尻腐れ症は果実のおしりの部分が黒くなって腐ってしまう症状のことです。これは株の病気ではなく、カルシウムが不足したときなどに発生するため、薬剤をかけても防げません。
対処法
尻腐れ症が発症して腐ったトマトの実は元に戻りませんが、株自体は問題ありません。腐った実だけを取り除きましょう。
発症した場合は、カルシウムを多く含んだ追肥をして、しばらく様子を見ましょう。
カルシウム補給のできるスプレーもあります。
害虫
アブラムシ類
アブラムシとは、植物や野菜に群生する昆虫です。体は小さく、1~4mmほどしかありません。しかし、群れになって植物を襲うので、大きな被害を受けます。
アブラムシ類が植物につくと、植物は汁を吸われて成長が止まり、やがて枯死します。また、アブラムシ類の排泄物に菌が発生し、葉が黒くなることもあります。
さらに植物ウイルス病を媒介し、植物を全滅させるなどの被害をもたらすこともあるので、油断ができません。
対処法
- 予防特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
- 駆除数が少ない場合は、セロハンテープなどを利用することをおすすめします。多く発生している場合は、薬剤を使用ください。
ハダニ類
ハダニは0.5mmと非常に小さく、主に葉裏に寄生しています。梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になります。雌は交尾しなくても産卵することができるため、一匹いればどんどん増えていきます。また、クモの仲間なので、クモと同様に糸を出します。
葉裏に寄生して汁を吸うため、針先でつついたような白い小斑点を生じます。数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えます。被害が進行するに従って葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもあります。
対処法
- 予防特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
- 駆除ハダニは小さい虫のため、見えないという人もいます。そういった場合、おかしいと思う葉裏に白い紙を置いてみて、息を吹きかけた時に動き回る小さな虫がいたらハダニです。糸が絡んでいるときもハダニの可能性があります。
駆除する場合は、手で捕殺しなくても、水で流すことが可能です。葉の裏側まで洗い流すように勢いよく水をかけましょう。植物にやさしい、綿棒タイプの粘着剤を使用するのも良い方法です。