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ニンジン(種)

基本情報

ニンジン(種)

栽培難易度

ニンジン(人参)はカレーやシチュー、サラダでお馴染みの野菜。スーパーで見慣れていますが、栄養たっぷりで料理の幅も広く、キッチンに常備しておきたい野菜の一つです。
そんなニンジン(人参)、実はベランダでも育てられるってご存知でしたか?家庭菜園でも人気の野菜なので、育てやすいように品種改良もされているんですよ。

科名 属名
セリ科ニンジン属
収穫までの期間
約100~120日
主な病気
うどんこ病・黒葉枯病
主な害虫
ネコブセンチュウ・キアゲハの幼虫・アブラムシ類
生育適温
発芽適温は15〜25℃で、生育適温は18〜22℃と冷涼な気候
日当たりがよく、風通しのいい場所
必要な栽培スペース
プランターの周囲に約10cmほど余裕があればOK
水やり
土が乾いたとき
弱酸性~中性(pH6.0~7.0)

栽培スケジュール

栽培スケジュール
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深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

準備

プランター
ニンジン(人参)は土の中で縦方向に成長する植物です。深さが30cm以上ある深めのプランターを用意しましょう。サイズが大きめで容量は45Lが目安です。
野菜用の培養土
新しい土を使ってください。市販の「野菜用培養土」を使うと手間がかからず、プランターに入れるだけなので簡単です。特に、ニンジン(人参)は栄養が大好きで生育期間が長いので、すでに肥料がブレンドされた「元肥タイプ」の培養土を使うと簡単です。
化成肥料
元肥タイプを使用しない場合に化成肥料を土に混ぜます。また、生育中の肥料として使用します。
底石用の軽石+ネット袋
水はけをよくするためにプランターの底に入れます。その際、ネット袋があると片付けの際楽なので、ネットに入れて底に浅めに敷きます。

種まき

1. 種を選ぼう

今は育てやすいように品種改良が進んでいるので好きなものを選んで良いでしょう。
ペレット種子やフィルムコート種子といって、種の周りを薬剤などでコーティングし病害を防いだり発芽率をよくしたものもあります。発芽率を上げたい人はこれらを選ぶのがおすすめです。

発芽率を上げよう!

何も加工されていない裸(生)種子の場合、表面に細かい毛があるものと、事前にとってあるものがあります。
毛がある場合は、水をはじいて芽が出にくくなるので、手でもんで毛を除いてください。それから、種を⼀晩⽔につけておきましょう。こうすることで、発芽を促すことができます。翌朝、種を取り出し、余分な⽔気をとっておけばOKです。
コーティングされた種子は、発芽率が高いため、水につけなくても大丈夫です。袋の説明通りに種をまきましょう。

2. プランターの準備

底石用の軽石をネットに入れて、軽く水で洗いプランターの底に薄く敷いてください。
それから、土をプランターの8分目程度を目安に入れてください。

ニンジン(人参)は湿気に弱く水はけが悪いと根腐れするので、水はけのよいタイプの土を選びましょう。
特に、栄養が大好きで生育期間が長いので元肥を施しておくといいです。
すでに肥料がブレンドされた「元肥タイプ」の培養土を使うと簡単ですよ。

種のまき方

夏にまいて秋から冬に収穫する方法が、虫もつきにくく最も栽培しやすいため、ニンジン(人参)の夏の植付けは7月上旬〜8月上旬が最適です。

種まきのコツは、まく前にたっぷり水やりをしておくことです。
ニンジン(人参)は発芽しにくい野菜なので、少し多めに種まきをしてもいいでしょう。

種をまくときは、一直線上に浅い溝を等間隔に作り、その溝に種をまく「すじまき」にします。溝に沿って5mmから1cmの間隔でまきましょう。

種をまいたら土をごく薄くかけます。だいたい5mmくらいの土を優しくかぶせましょう。これは、ニンジン(人参)の種が発芽するために光が必要だからです。深くかぶせてしまうと発芽しない可能性があるので丁寧にかぶせましょう。
土をかぶせたら、軽く手で押さえて種を密着させて完了です。

種まき後

種をまいたあとは、発芽するまで乾かさないのがポイントです。
不織布や新聞紙をかぶせて毎日水やりし、乾かさないように管理しましょう!ジョウロの口を上向きにして、優しく水やりを行えば、種が流れるのを防ぐことができます。

発芽したら次は光合成をさせるために、速やかに新聞紙などを取り除きましょう。

ポイント
水やりのポイント

芽が出た後は、土が乾いたら水をやる程度でいいでしょう。ニンジン(人参)ははじめ成長が遅いため、あせって必要以上に多く水やりをしないように注意しましょう。あまり多く水をやりすぎると、根腐れの原因になります。また、乾きすぎたり湿らせすぎたりをくり返すと、根が裂ける原因になるので、こまめに水やりをするのがコツです。

深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

育て方

間引き・追肥・土寄せ

間引き(まびき)とは、密集している苗を一部だけ残して、残りを抜いてしまう作業のことです。
株と株の間に十分なスペースがないと、日当たりや風通しが悪くなってしまう上に、葉や茎が触れ合っていることで、害虫が発生したときに他の葉にも影響がでてしまいます。また、栄養の取り合いになり、やせた株に育ってしまいます。
間引くことで健全なのびのびした株が育ちますよ!

ニンジン(人参)の間引きは3回です。細かく間引きすることで、少しずつ根を太らせるのがポイント。発芽がそろって本葉が1~2枚になったら間引きをはじめましょう!

ポイント
間引く芽のPOINT
  • 葉と葉が触れ合っているもののどちらか
  • 一番背の高いもの
  • 茎が細くてヒョロヒョロなもの
  • 葉の形が悪いもの

間引きタイミング1回目:本葉(2~3枚)

本葉が2~3枚ほどの頃に行います。3~4cm間隔に1株になるよう間引きしましょう。次は残す株を意識しながら間引いていきましょう。
ポイント
残す株のPOINT
  • 葉の色が濃いもの
  • つやがよいもの
  • 茎が太くて丈夫そうなもの

追肥タイミング1回目:1回目の間引き後

最初の追肥を行います。
肥料はプランターの容量1Lあたり1gを目安に、45Lプランターなら40g(大さじ1杯)の化成肥料を用意し、化成肥料を株から離れたプランターの淵の土に混ぜます。
  • 土寄せ
    土寄せは、株の根元に土を寄せてかぶせることです。土寄せをすることで、水はけと通気性がよくなり、腐敗や病気を予防することができます。
    追肥後、株元に土を寄せて、間引きの後に苗がグラつかないようにしましょう。

間引きタイミング2回目:本葉(6~7枚)

種まきから約60日、本葉6~7枚の際に行います。株間10~15cm程度に間引きをします。成長のよいものを残して育てましょう!
ニンジン(人参)は、間引いた時にニンジン(人参)ができていれば、それも食べられます。

追肥タイミング2回目:2回目の間引き後

根が太り始める時期です。肥料を追加して大きな根を育てましょう。
1回目の追肥と同様、プランターの容量1Lあたり1gを目安に、化成肥料を株から離れたプランターの淵の土に混ぜます。

  • 土寄せ
    ニンジン(人参)は、日が当たると緑化してしまいます。ニンジン(人参)本体が露出しないよう、特に土寄せをしっかりしましょう。

ニンジン(人参)は、与える肥料が多い分、雑草も生えやすいのが難点です。雑草は苗の成長を妨げるので、見つけたらすぐに抜いておきましょう。

深町さんのワンポイントアドバイス!
ニンジンは発芽が揃いにくいため、間引きは慌てないことが大切です。本葉2~3枚までは成長にとても時間がかかります。間引きを我慢する(遅らせる)ことで、株同士が競争しあい、成長を促すことができます。成長の違いがハッキリ出れば、間引きもしやすいでしょう。茎が太く葉がしっかりしたものを選んで残してください。

収穫

タイミング

根元の根の直径が4~5cmになったら、いよいよ収穫の時期!種まきから約100~120日頃が目安です。
ニンジン(人参)の場合、収穫する時期を逃さないようにすることが大切です。遅くなると、品質が悪くなり、太くなりすぎて割れてしまう恐れもあります。大きくなりすぎる前に収穫しましょう。
ニンジン(人参)の収穫方法はとても簡単です。葉を持って片手で地面をおさえ、ゆっくり引き抜くようにして収穫します。
育ちの良いニンジン(人参)は長さが12~13cmになります。収穫したらぜひ長さを測ってみてください!
深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

病気

うどんこ病

うどんこ病は、葉の表面にうどん粉を振りかけたような白色のカビが現れる病気です。発病すると症状が次第に拡大し、ひどい場合は下葉から黄色くなり、茎が歪曲して枯れてしまうこともあります。
原因はカビの胞子による空気感染です。風通しが悪いと感染しやすくなるようです。

うどんこ病

対処法

  • 予防

    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

  • 対処

    症状が軽い場合は感染した葉だけちぎって様子を見ます。
    枯れ葉についた胞子で広がる可能性もあるので、ちぎった葉は必ず破棄するようにしましょう。
    症状が広がる場合は、葉が全部枯れる恐れがあるので薬剤を使用する必要があります。食品成分で病気を退治してくれる製品がおすすめです。

黒葉枯病

黒葉枯病は、葉に褐色や黒褐色の小斑点が生じる病気で、進行すると斑点同士がくっついて大きな病斑を形成します。また、発病した葉は上向きに巻きあがり、枯死する場合もあります。

黒葉枯病

対処法

  • 予防

    この病気は多湿と乾燥を繰り返す時期に発生しやすく、夏まきしたときは特に気を付ける必要があります。肥料切れすると発病しやすくなるので、追肥を適切に行って防ぎましょう。
    15℃以下または35℃以上では発生しません。

害虫

ネコブセンチュウ

ネコブセンチュウは、細長い形をしたとても小さい害虫です。根部分に寄生し、寄生された根には小さなこぶが無数にできます。

ネコブセンチュウ

見つけ方

被害を受けている根は土の中に隠れていて直接見ることはできませんが、茎や葉に萎れや黄化が現れるなど、全体の発育も悪くなります。最終的には枯死する場合もあるので、注意したい害虫です。

対処法

  • 予防

    ネコブセンチュウは、ほかの害虫のように発生状況を見ながら防除対策をとることが難しい害虫です。しかし熱に弱い性質を持っているので、プランターの土に太陽光をできるだけ当てるようにしましょう。

  • コンパニオンプランツ

    繁殖を抑えるため、コンパニオンプランツ(共栄植物)として、同じプランターでマリーゴールドを育てるのも効果的です。

キアゲハの幼虫

暖かくなると美しい姿で空を舞うキアゲハですが、その幼虫はベランダ菜園では害虫です。一晩で葉が全滅するほどの被害を及ぼすこともあります。ニンジン(人参)を春から植える場合、特にキアゲハに気を付ける必要があります。成長するに従い、食害する量が多くなるので、なるべく早めに対策しましょう。

キアゲハの幼虫

対処法

  • 予防

    防虫ネットをかける。

  • 駆除

    数が少ない場合は、セロハンテープを利用したり、割り箸などでつまんで取り除きましょう。
    多く発生している場合は、薬剤を使用ください。

アブラムシ類

アブラムシ類は、植物や野菜に群生する昆虫で、体は小さく、1~4mmほどしかありません。しかし、群れになって植物を襲うので大きな被害を受けます。
アブラムシ類が植物につくと、植物は汁を吸われて成長が止まり、やがて枯死します。また、アブラムシ類の排泄物に菌が発生し、葉が黒くなることもあります。
さらに植物ウイルス病を媒介し、植物を全滅させるなどの被害をもたらすこともあるので、油断ができません。

アブラムシ類

見つけ方

アブラムシ類は主に緑色や茶色をしているものが多いため、パッと見ただけでは見つけにくいです。ただ、近づいてよく見てみると大量についていることがあります。
特に新芽の部分を中心に発生するので、念入りにチェックしてください。
部屋で育てていても寄生することがあります。

対処法

  • 予防

    防虫ネットをかける。
    アブラムシ類は裾のちょっとした隙間をくぐり抜けて入り込むので、時々葉の裏をチェックするようにします。
    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

  • 駆除

    数が少ない場合は、セロハンテープなど棒を利用することをおすすめします。
    多く発生している場合は、薬剤を使用ください。

深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

よくあるご質問

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