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基本情報
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この栽培に役立つ情報
基本情報
栽培難易度
夏野菜の定番といえば、ナスですよね!ナスを使ったレシピは数多くあり、揚げびたしや炒め物、煮物、カレーの具などにも最適です。また、シンプルに焼きナスにしていただくのもおいしいですよね。
実はナスはおうちでも栽培できることをご存知ですか?プランターが置けるほどの場所があれば誰でも育てることができるので、ベランダ菜園にピッタリです!
- 科名 属名
- ナス科ナス属
- 収穫までの期間
- 約40~50日
- 主な病気
- べと病・うどんこ病・褐斑病・灰色かび病
(回復困難なもの:青枯病・モザイク病)
- 主な害虫
- アブラムシ類・コナジラミ類・ハダニ類・テントウムシダマシ・オオタバコガ・ハモグリバエ類
- 生育適温
- 生育適温は25~28℃ 寒さに弱いので夜間15℃
- 必要な栽培スペース
- プランターの周囲に約10cmほど余裕があればOK
日当たりのよい場所
- 水やり
- 乾燥に弱いので、土の表面が乾いていたらたっぷりとあげます。
- 土
- 弱酸性~中性(pH6.0~7.0)
準備
- プランター
- 1株であれば直径30cm程度の鉢植え
2株以上なら45L以上の野菜用大型プランター
- 野菜用の培養土
- 市販の「野菜用培養土」を使うと手間がかからず、プランターに入れるだけなので簡単です。
- 化成肥料
- 元肥タイプを使用しない場合に化成肥料を土に混ぜます。また、生育中の肥料として使用します。
- 底石用の軽石+ネット袋
- 水はけをよくするためにプランターの底に入れます。その際、ネット袋があると片付けの際楽なので、ネットに入れて底に浅めに敷きます。
- 支柱
- 太さは16~20mmで長さは200cm位のもの
植え付け
1. 苗の準備
購入時のポイント
初心者は種よりも苗を買うのがおすすめです。
次のポイントに注意して苗を選びましょう。
- 丈夫な苗を選ぶ
- 双葉がしっかり残っているもの
- 節間が詰まってガッシリしているもの
- ポットの底から白い根が出ているもの
- 健康な苗を選ぶ
- 葉色が濃いもの
- 根鉢がしっかりとできているもの
- 病害虫がいない・病害虫の被害を受けていないもの
- 本葉が5~6枚程度のもの
- すぐに植えられる状態に育っているもの
ポイント
「接ぎ木苗」は病害などに強くて育てやすいのが特徴です。
購入した苗はいきなり植えるのではなく、2~3日の間、日当たりのいい場所で慣らしてから植えると良いです。
下葉が枯れた苗は、肥料切れしていることがあり、根つきが悪いので避けましょう。
2. 苗の植え付け
プランターの準備
底石用の軽石をネットに入れて、軽く水で洗いプランターの底に薄く敷いてください。
それから、土をプランターの8分目程度を目安に入れてください。
植え付けの手順
- スコップで苗と同じぐらいの大きさの穴を掘る。
- イラストのように人差し指と中指で苗をやさしく挟んで、そのままポットごと、ひっくり返し、土の部分を崩さないようにゆっくりポットを引き上げる。
- 苗をやさしく鉢土ごと①の穴に植えます。このとき、鉢土の1/5がプランターの土から出るくらいに浅く植えるのがコツです。
- 植えたら土を2~3cmかるくかけ、底から水が出るぐらいたっぷり水をあげましょう。
ポイント
植え付ける際に気をつけること
苗の根は非常にデリケートなので、傷つけないように丁寧に扱いましょう。根を傷つけると病気になりやすくなったり、そこから枯れてしまうことがあります。
植え付け時期
ダメージを与える晩霜の心配がなくなる4月下旬~5月上旬が目安です。
深町貴子/アドバイザー
園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。
栽培
1. 支柱立て
植物が支柱に沿ってまっすぐ成長できるように、ひもなどで支柱と茎や葉を固定することを言います。
ナスのように背が高くなる野菜は、風が吹いて茎が折れてしまうことがあります。そのため、支柱を使って成長する方向を固定し、丈夫にしておく必要があります。
方法
- 土に支柱を立てる
植え付けた苗の根元から10cmほど離した位置に支柱を差します。2株で育てる場合は株間を50cm程度空けましょう。
- 支柱を交差させる
縦の支柱が立て終わったら、残りを横にして、既に立てている支柱と交差させます。交差した部分をテープやひもなどでしっかりと結びつければ完成です。
2. 苗を誘引しよう
誘引とは、植物の茎やつるを支柱に結び付けて、形を整えることです。ナスの場合は、つるが上に育つよう縦に誘引します。
植え付け後は、すぐに支柱と苗を結んで固定します。週1回程度、状態を確認して結び直しましょう。
支柱と植物を結ぶ時は、ひもを8の字にします。植物が大きくなることを踏まえ、結ぶ輪は大きめに作ってあげましょう。隙間を作らず固定してしまうと、ひもが成長した茎に食い込み、植物の成長を妨げてしまいます。
3. 芽かき・整枝
ナスは一番花が咲くと、その下に「わき芽」が生えます。わき芽は成長するとやがて新しい側枝となるのですが、必要以上に側枝を伸ばしてしまうと、栄養が分散してしまい、収穫できる実が減ってしまいます。
おいしいナスを育てるためには、主枝とこのわき芽を2本だけ残し「3本仕立て」で育てるようにすることがポイントです。
この残しておくわき芽以外を取り除いてしまうことを「芽かき」といい、芽かきをして枝を整えてあげることを「整枝」と呼びます。
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1回目
最初の花が咲き、下にわき芽が出てきたら、花の下にある2つのわき芽以外をすべて取り除きます。残したわき芽は成長させると側枝になります。
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2回目以降
わき芽は取り除いた後もどんどん生えてきます。主枝だけではなく、側枝からも生えてくるようになるので、こまめに取り除くようにします。
ナスの花が咲き始めたら、毎日しっかり水やりをしましょう。水分が少ないと落花しやすくなり、果実の成長(肥大)が著しく悪くなります。
4. 追肥
追肥の方法
固形肥料の場合、1株につき20~30gほど与えるようにします。ただし、根元に直接まいてしまうと、根に障害が起こる可能性があるので、根元より外側にまくようにしましょう。
液肥の場合は製品の指示のしたがって希釈し、散布します。
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追肥1回目
一番目の花に実がついてきたら1回目の追肥のタイミングです。ナスはよく肥料切れを起こす野菜なので、追肥はおいしい実を育てるために必要不可欠です。
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追肥2回目以降
固形タイプの肥料なら2週間に1回ほどの割合で追肥を行います。液肥の場合は10日に1回ほど追肥しましょう。
ポイント
追肥すべきかどうか迷ったときは花を見よう!
ナスの花は充分に肥料があると紫色になり、中央の雌しべがその周りの雄しべより長く伸びます(長花柱花)。逆に不足すると花弁が白っぽくなり、雌しべが短くなって雄しべに隠れてしまい(短花柱花)、受粉の妨げになります。
咲き終わった花は、早めに取り除きましょう。花が残っているとその部分の実が紫色になりません。
収穫
タイミング
収穫は開花後20~25日頃です。まずは、1番果を収穫しましょう。長さが10cm以内のうちに若取りして、株の成長を促します
その後2週間程度で本格的な収穫ができるようになります。大きくなりすぎる前に若取りをするように心がけると、株の負担が少なくなり、美味しいナスを収穫できます。
ポイント
収穫は気温の低い早朝に行うようにしましょう。茎が固いので、ヘタの上をハサミでしっかり切り落とします。果実を傷つけないように注意してくださいね。
収穫が遅れてしまうと、色や味も悪くなってしまいます。柔らかくて美味しいうちに、早めに収穫するようにしましょう!
深町貴子/アドバイザー
園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。
病気
べと病
べと病は葉の葉脈に沿って褐色の病斑ができ、次第に薄茶色・灰白色になっていく病気です。葉が乾くとパリパリになり、湿るとベトベトになります。近くの病斑同士がつながり、葉全体に病気が広がることもあります。
湿気を好み、15~20℃くらいの気温で発生します。
土の中に含まれる病原菌が原因と言われており、風雨などにより伝染します。症状は下葉から発生し、徐々に葉の上に広がっていくことが特徴です。
対処法
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予防
雨よけをして風通しと水はけを良くし、過湿を避けるようにしましょう。また、肥料切れをなくすこともポイントです。
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対処
発生初期は、症状が出た葉だけをちぎって様子を見ましょう。症状が広がる場合はできるだけ早く薬剤を使用します。薬剤は葉の裏を中心に散布しましょう。
うどんこ病
葉に斑点ができ、白っぽいカビのようなものが生え、やがて枯れます。うどんこ病は気温が高く湿度が低い環境(4~10月に多い)で、温度が17~25℃ぐらいのときに発生しやすくなります。真夏・真冬は発生しにくいです。
対処法
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予防
特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
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対処
症状が軽い場合は感染した葉だけちぎって様子を見ます。ちぎった葉は必ず廃棄することが重要です。
褐斑(かっぱん)病・灰色かび病
褐色の小さな斑点がぽつぽつと出る病気です。同心円状に広がっていき、斑点の上に黒い粒がみられるようになったのちに落葉を起こします。葉の多くが発病すると、株自体の生育が悪くなります。
高温多湿を好み、雨が続いたり風通しが悪くなったりすると発生しやすくなります。主に下葉から発生し、特に摘心後の新芽に感染すると被害が大きくなります。
灰色かび病
花や幼果、葉、巻きひげに発生する病気です。
主に咲き終わってしぼんだ花の部分から灰色のカビが発生します。その後、小さな実が黄褐色になって腐っていきます。葉に生じる場合は、褐色色の丸い病斑、灰色のカビとなって現れます。20℃くらい気温と多湿を好み、株が密生しているときや朝夕の急激な冷え込みがあるときに発症しやすいです。
対処法
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予防
日当たりや風通しを良くすることが大切です。植え付けのときに株どうしの間隔を適切にしたり、生育にあわせて整枝・摘心・摘花をすれば風通しがよくなり、病気を防ぐことができます。
特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
青枯病
青枯病は、根に付いた傷から菌が入って、株全体が青い葉のまま数日後に立ち枯れてしまう病気です。土から伝染する土壌伝染病で、土中の水分が過剰になると発病しやすくなります。根が傷むとさらに発病しやすくなります。
地温が20℃を超えると発病し始め、25~37℃で症状はさらに激しくなります。
対処法
青枯病が一度全面的に発生すると、治癒が難しく、株を処分したら土壌消毒で病菌を完全殺菌するか、5年以上の間隔をとるなどの対策が必要になります。
基本的に、根が傷まないよう、地中の水分の急激な変化、過湿、過乾燥に注意して育てることが第一条件になります。
モザイク病
モザイク病は、葉が黄色くなったり、緑色の濃淡のあるモザイク症状になったりするのが特徴です。
対処法
アブラムシで媒介される病気です。害虫対策をして防ぎましょう。
害虫
アブラムシ類
アブラムシ類は、様々な植物や野菜に群生する昆虫です。体は小さく、1~4mmほどしかありません。しかし、群れになって野菜を襲うので大きな被害を受けます。
アブラムシ類が野菜につくと、養分を吸われて成長が止まり、やがて枯死します。また、アブラムシ類の排泄物に菌が発生し、葉が黒くなることもあります。
さらに植物ウイルス病を媒介し、植物を全滅させるなどの被害をもたらすこともあるので、油断ができません。
対処法
- 予防特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
- 駆除数が少ない場合は、セロハンテープなどを利用することをおすすめします。
多く発生している場合は、薬剤を使用ください。
ハダニ類
ハダニ類は0.5mmと非常に小さく、主に葉裏に寄生しています。梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になります。
雌は交尾しなくても産卵することができるため、一匹いればどんどん増えていきます。また、クモの仲間なので、クモと同様に糸を出します。
葉裏に寄生して汁を吸うため、葉に針先でつついたような白い小斑点ができます。数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えます。
被害が進行するに従って葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもあります。
対処法
- 予防特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。
- 駆除ハダニ類は小さい虫のため、見えないという人もいます。そういった場合、おかしいと思う葉裏に白い紙を置いてみて、息を吹きかけた時に動き回る小さな虫がいたらハダニ類です。糸が絡んでいるときもハダニ類の可能性があります。
駆除する場合は、手で捕殺しなくても、水で流すことが可能です。葉の裏側まで洗い流すように勢いよく水をかけましょう。植物にやさしい、綿棒タイプの粘着剤を使用するのも良い方法です。
テントウムシダマシ
テントウムシダマシは10月上旬に発生します。別名「ニジュウヤホシテントウ」とも呼ばれています。
テントウムシは、アブラムシなどの害虫を食べる益虫として知られていますが、テントウムシダマシは葉や若い果実を食害する害虫です。
成虫の体長は6~7mmで、28個の斑点があるのが特徴です。幼虫・成虫ともに表皮を薄く残して葉裏や果肉を食害し、食害痕が階段状に残ります。
対処法
- 予防防虫ネットをかける。
- 駆除見つけたら捕殺する。
すぐに駆除したいという方は、薬剤を使用ください。
深町貴子/アドバイザー
園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。