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キュウリ(苗)

基本情報

キュウリ(苗)

栽培難易度

シャキシャキとした食感のキュウリ(きゅうり)は、夏の食卓には欠かせない食材ですよね。そのまま、あるいはサラダや漬け物にして食べても美味しいキュウリ(きゅうり)は、コストパフォーマンスも良く、また、育てがいもある野菜なので、ベランダ菜園にピッタリです!

科名 属名
ウリ科キュウリ属
収穫までの期間
約60日
主な病気
うどんこ病・褐斑病・炭疽病・灰色かび病
主な害虫
ウリハムシ・アブラムシ類・ハダニ類
発芽適温・生育適温
発芽25~35℃、生育 昼間22~28℃、夜間17~18℃
必要な栽培スペース
プランターの周囲に約10cmほど余裕があればOK
水やり
土の表面が乾いたら、朝や夕方に水をたっぷりあげるようにします。水切れをおこさないようにたっぷり水やりをしましょう。
弱酸性~中性(pH6.0~7.0)

栽培スケジュール

栽培スケジュール
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深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

準備

プランター
1株であれば直径30cm程度の鉢植え
2株以上なら45L以上の野菜用大型プランター
野菜用の培養土
市販の「野菜用培養土」を使うと手間がかからず、プランターに入れるだけなので簡単です。
化成肥料
元肥タイプを使用しない場合に化成肥料を土に混ぜます。また、生育中の肥料として使用します。
底石用の軽石+ネット袋
水はけをよくするためにプランターの底に入れます。その際、ネット袋があると片付けの際楽なので、ネットに入れて底に浅めに敷きます。
支柱
太さは16~20mmで長さは200cm位のもの

植え付け

1. 苗の準備

購入時のポイント

初心者は種よりも苗を買うのがおすすめです。次のポイントに注意して苗を選びましょう。

  • 丈夫な苗を選ぶ
    • 双葉がしっかり残っているもの
    • 節間が詰まってガッシリしているもの
    • ポットの底から白い根が出ているもの
  • 健康な苗を選ぶ
    • 葉色が濃いもの
    • 根鉢がしっかりとできているもの
    • 病害虫がいない・病害虫の被害を受けていないもの
    • 本葉が3~4枚程度のもの
    • すぐに植えられる状態に育っているもの
ポイント

「接ぎ木苗」は病害などに強くて育てやすいですよ。スーパーなどで売っているキュウリ(きゅうり)のほとんどが「接ぎ木苗」から作られています。

2. 苗の植え付け

プランターの準備

底石用の軽石をネットに入れて、軽く水で洗いプランターの底に薄く敷いてください。
それから、土をプランターの8分目程度を目安に入れてください。

植え付けの手順

  1. スコップで苗と同じぐらいの大きさの穴を掘る。
  2. イラストのように人差し指と中指で苗をやさしく挟んで、そのままポットごと、ひっくり返し、土の部分を崩さないようにゆっくりポットを引き上げる。
  3. 苗をやさしく鉢土ごと①の穴に植えます。このとき、鉢土の1/5がプランターの土から出るくらいに浅く植えるのがコツです。
  4. 植えたら土を2~3cmかるくかけ、底から水が出るぐらいたっぷり水をあげましょう。
ポイント
植え付ける際に気をつけること

苗の根は非常にデリケートなので、傷つけないように丁寧に扱いましょう。根を傷つけると病気になりやすくなったり、そこから枯れてしまうことがあります。

植え付け時期

ダメージを与える晩霜の心配がなくなる4月下旬~5月上旬が目安です。

深町さんのワンポイントアドバイス!
キュウリの瑞々しさは95%以上が水分でできているからです。つまり果実の肥大には土の水分量が大きな役割を果たしています。果実が肥大し始めるときに水分が不足すると、成長が止まり、曲がった果実や変形果が多くなります。雌花が咲き始めるころからは水切れに注意し、土の極端な乾湿をつくらず、毎日たっぷりと水やりを行いましょう。

栽培

1. 支柱立て

植物が支柱に沿ってまっすぐ成長できるように、ひもなどで支柱と茎や葉を固定することを言います。
キュウリ(きゅうり)は、放っておくとどんどん成長し、葉も実も大きくなっていきます。その重さで茎が折れたりすることがあるので、支柱立ては必須と言えるでしょう。

方法

  • 土に支柱を立てる
    植え付けた苗の両端、また、根元から10cmほど離した位置に支柱を差します。キュウリ(きゅうり)は葉が大きく、横にも広がるので、2株で育てる場合は苗の間にも支柱を立て、最終的に格子状になるように4本以上の支柱を立てるといいでしょう。
  • 支柱を交差させる
    数本立て終わったら、支柱を横に向け、既に立てている支柱と交差させてテープでしっかりと結びます。
    支柱全体が格子状になるようにしたら完成です。

2. 苗を誘引しよう

誘引とは、植物の茎やつるを支柱に結び付けて、形を整えることです。きゅうりの場合はつるが上に育つよう、縦に誘引します。30~40cm伸びるごとに誘引を行うとよいでしょう。
植え付け後は、すぐに支柱と苗を結んで固定します。週1回程度、状態を確認して結び直しましょう。
支柱と植物を結ぶ時は、ひもを8の字にします。植物が大きくなることを踏まえ、結ぶ輪は大きめに作ってあげましょう。隙間を作らず固定してしまうと、ひもが成長した茎に食い込み、植物の成長を妨げてしまいます。

3. 整枝・摘心・摘花

風通しと採光をよくするために、株から余分なわき芽や枝葉、花を除く作業のことを「整枝」といいます。病気や害虫を予防し、大きくおいしい果実を育てるために必要な作業です。

ベランダ菜園で育てるキュウリ(きゅうり)の場合は、育てるつるを一株につき1本に絞り、高さと伸びる方向を調整していきます。

  • 1回目(植え付け後4週間を目安に、草丈30cm程度になったら)キュウリ(きゅうり)の株に本葉が10枚以上つき、30cmほどの高さになったら、親づる(株から直接生えているメインのつる)の下から5~6節まで、子づるや花をすべてカット(摘心・摘花)します。また、7節目に花がついていたらこれも摘花しましょう。
    ポイント

    「節」とは、茎から葉が生えている部分のことです。一番最初に生えた本葉から上に数えていきます。
    ※この時に、双葉をとってしまわないように注意しましょう。

  • 2回目以降伸びすぎた子づるのカットとともに、株の下方にある葉も少しずつカット(摘葉)するようにしましょう。特に黄色くなっていたり、枯れていたりする葉はカットするようにします。小さな新葉や新芽に光を当てるようにしましょう。ただし、1回の作業で1株3枚程度で留めてください。
    全体的に見て葉が混雑していなければOKです。
  • 植え付け後7~8週間・草丈が支柱と同じくらいになったらそれ以上伸びないよう親づるをカット(摘心)します。
    8月以降は、成長の勢いも落ち着いてきます。花や実の付き方を見ながら、混み合ったところを間引く程度に摘心・摘葉を行いましょう。

4. 追肥

追肥の方法

1回目の追肥は株の周りに施し、周辺の土と軽く混ぜ合わせます。2回目と3回目は株の周りに肥料を施したら、土を軽く被せるようにしましょう。
キュウリ(きゅうり)の根は広く浅く張るので、あまり苗の近くに施さないのがポイントです。苗から少し離して追肥することで根枯れを防ぎます。

  • 追肥1回目株がしっかりし、初めの実がなったら適切に追肥を行うことで、キュウリ(きゅうり)の実が曲がってしまったり、栄養不足で病気になったりするのを防ぎます。
  • 追肥2回目以降2週間に1回ほど肥料を追肥するか、週1回液肥を水やりを兼ねて施すとよいでしょう。キュウリ(きゅうり)は1度にたくさん肥料を施すよりも少しずつ施した方が効果が出ます。

収穫

タイミング

収穫は開花後7~10日頃です。キュウリ(きゅうり)は実が若いうちにどんどん収穫するのが、株を疲れさせないポイントです。一般的な品種では、1~2番果は長さ10~15cmで、3番果以降は18~20cmのものを収穫するようにします。
ポイント
収穫遅れに注意!

キュウリ(きゅうり)は1日で3cmも伸びることがあるので、うっかりしていると大きすぎるキュウリ(きゅうり)になってしまい、味が落ちてしまいます。
また、他の実の栄養も吸ってしまい、曲がったキュウリ(きゅうり)などになる可能性があります。

キュウリ(きゅうり)の果実は肥大が早いので、取り遅れないように毎日チェックするようにしましょう。果実を大きくしすぎると株が弱ってしまい、落下や病気の発症の原因となって収穫量が減少する可能性があります。

深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
 園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

病気

べと病

べと病は葉の葉脈に沿って褐色の病斑ができ、次第に薄茶色・灰白色になっていく病気です。葉が乾くとパリパリになり、湿るとベトベトになります。近くの病斑同士がつながり、葉全体に病気が広がることもあります。
湿気を好み、15~20℃くらいの気温で発生します。
土の中に含まれる病原菌が原因と言われており、風雨などにより伝染します。症状は下葉から発生し、徐々に葉の上に広がっていくことが特徴です。

べと病

対処法

  • 予防

    雨よけをして風通しと水はけを良くし、過湿を避けるようにしましょう。また、肥料切れをなくすこともポイントです。

  • 対処

    発生初期は、症状が出た葉だけをちぎって様子を見ましょう。症状が広がる場合はできるだけ早く薬剤を使用します。薬剤は葉の裏を中心に散布しましょう。

うどんこ病

葉に斑点ができ、白っぽいカビのようなものが生え、やがて枯れます。うどんこ病は湿度が低い環境(4~10月に多い)で、温度が17~25℃ぐらいのときに発生しやすくなります。真夏・真冬は発生しにくいです。

うどんこ病

対処法

  • 予防

    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

  • 対処

    症状が軽い場合は感染した葉だけちぎって様子を見ます。ちぎった葉は必ず廃棄することが重要です。

褐斑(かっぱん)病・炭疽(たんそ)病・灰色かび病

褐斑(かっぱん)病
褐色の小さな斑点がぽつぽつと出る病気です。同心円状に広がっていき、斑点の上に黒い粒がみられるようになったのちに落葉を起こします。葉の多くが発病すると、株自体の生育が悪くなります。

高温多湿を好み、雨が続いたり風通しが悪くなったりすると発生しやすくなります。主に下葉から発生し、特に摘心後の新芽に感染すると被害が大きくなります。

褐斑(かっぱん)病

炭疽(たんそ)病
褐葉や枝だけでなく、きゅうり(きゅうり)の実にも発生する病気です。
黒褐色の小さな斑点が同心円状に広がっていき、斑点の内側が灰白色の大きな病斑に変化していきます。症状が進行すると、葉の病斑部の中心に穴が開き、最終的に枯れてしまいます。

炭疽(たんそ)病

灰色かび病
花や幼果、葉、巻きひげに発生する病気です。
主に咲き終わってしぼんだ花の部分から灰色のカビが発生します。その後、小さな実が黄褐色になって腐っていきます。葉に生じる場合は、褐色色の丸い病斑、灰色のカビとなって現れます。
20℃くらい気温と多湿を好み、株が密生しているときや朝夕の急激な冷え込みがあるときに発症しやすいです。

灰色かび病

対処法

  • 予防

    日当たりや風通しを良くすることが大切です。植え付けのときに株どうしの間隔を適切にしたり、生育にあわせて整枝・摘心・摘花をすれば風通しがよくなり、病気を防ぐことができます。
    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

害虫

ウリハムシ

黄色や赤茶色の甲虫です。大きさは0.6~1cmほどで、5月と8月に大量発生します。ウリ科の植物の葉や花を好み、成虫は葉を円弧状に食べて穴をあけます。
被害に合うと、野菜の成長が悪くなってしまう恐れがあり、ひどい場合は枯死させることもあります。
また、ウリハムシは幼虫にも気を付ける必要があります。ウリハムシの成虫は野菜の株元に卵を産みます。その卵が孵り幼虫になると、幼虫は土に潜って根を食い荒らしてしまうのです。

ウリハムシ

対処法

  • 駆除

    成虫を見つけたら、その都度捕殺するようにしましょう。ただ、ウリハムシは捕まえようとすると素早く逃げてしまうので、ウリハムシの活動が鈍くなる、気温が低い午前中に駆除するようにしましょう。

アブラムシ類

アブラムシ類は、様々な植物や野菜に群生する昆虫です。体は小さく、1~4mmほどしかありません。しかし、群れになって野菜を襲うので大きな被害を受けます。
アブラムシ類が野菜につくと、養分を吸われて成長が止まり、やがて枯死します。また、アブラムシ類の排泄物に菌が発生し、葉が黒くなることもあります。
さらに植物ウイルス病を媒介し、植物を全滅させるなどの被害をもたらすこともあるので、油断ができません。

アブラムシ類

対処法

  • 予防

    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

  • 駆除

    数が少ない場合は、セロハンテープを利用することをおすすめします。多く発生している場合は、薬剤を使用ください。

ハダニ類

ハダニ類は0.5mmと非常に小さく、主に葉裏に寄生しています。梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になります。雌は交尾しなくても産卵することができるため、一匹いればどんどん増えていきます。また、クモの仲間なので、クモと同様に糸を出します。
葉裏に寄生して汁を吸うため、葉に針先でつついたような白い小斑点ができます。数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えます。
被害が進行するに従って葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもあります。

ハダニ類

対処法

  • 予防

    特定防除資材の「酢」が原料の製品を散布するのがおすすめです。

  • 駆除

    ハダニ類は小さい虫のため、見えないという人もいます。そういった場合、おかしいと思う葉裏に白い紙を置いてみて、息を吹きかけた時に動き回る小さな虫がいたらハダニ類です。糸が絡んでいるときもハダニ類の可能性があります。
    駆除する場合は、手で捕殺しなくても、水で流すことが可能です。葉の裏側まで洗い流すように勢いよく水をかけましょう。植物にやさしい、綿棒タイプの粘着剤を使用するのも良い方法です。

深町貴子

深町貴子/アドバイザー

園芸家。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師等、数多くのメディアで活躍。
園芸の魅力を語る講演・講座も人気。

よくあるご質問

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